リモートワークでの成果、職務経歴書や面接でどう伝えれば評価されるか悩んでいませんか?
採用担当者はあなたの「自己管理能力」「コミュニケーション能力」「成果へのコミットメント」を見ています。
本記事では、元人事部長がこの3つの能力に紐づけて実績をアピールする具体的な書き方を徹底解説。
自己分析の方法から職種別の例文まで、あなたの経験を内定に繋げるノウハウがわかります。
なぜ今リモートワークでの成果の書き方が重要なのか

新型コロナウイルスの影響を契機に、リモートワークは一部の先進的な企業の働き方から、多くのビジネスパーソンにとって当たり前の選択肢へと変化しました。それに伴い、転職市場における採用のあり方も大きく変わってきています。企業はもはや「オフィスに出社できるか」ではなく、「どこにいても、自律的に業務を遂行し、成果を出せるか」を重視するようになりました。
だからこそ今、リモートワークで挙げた成果を的確に言語化し、アピールするスキルが、転職成功に直結する重要な要素となっているのです。
リモートワークの普及と採用市場の変化
働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、リモートワークを導入する企業は業種や規模を問わず増加の一途をたどっています。これは、転職希望者にとっては働く場所の選択肢が広がるというメリットがある一方で、企業にとっては採用競争が全国、ひいては世界規模に拡大したことを意味します。
企業は「場所を選ばずに成果を出せる人材」を求めている
企業がリモートワークを導入する最大の目的は、生産性の向上と優秀な人材の確保です。通勤時間がなくなり、集中できる環境を自分で作れるリモートワークは、従業員のパフォーマンス向上に繋がる可能性があります。そのため、採用担当者は候補者がリモート環境に適応し、オフィス勤務と変わらない、あるいはそれ以上の成果を出せる人材であるかを厳しく見極めようとしています。職務経歴書や面接で、その能力を具体的に証明することが不可欠です。
優秀な人材の獲得競争とリモートワーク経験の価値
リモートワークが可能な求人には、居住地を問わず多くの優秀な候補者からの応募が殺到します。その中で他の候補者と差別化を図り、内定を勝ち取るためには、単に「リモートワークの経験があります」と伝えるだけでは不十分です。リモートという特殊な環境下で、いかにして課題を解決し、チームに貢献し、具体的な成果を上げたのかを明確に示すことで、あなたの市場価値は飛躍的に高まります。
採用担当者が抱く「見えない不安」を払拭する必要性
元人事部長の視点からお伝えすると、採用担当者はリモートワーク経験者に対して、期待と同時にいくつかの「見えない不安」を抱いています。対面でのコミュニケーションが制限される環境で、候補者が本当に活躍できるのか、という懸念です。
具体的には、「自己管理ができず、生産性が落ちるのではないか」「コミュニケーション不足でチームから孤立しないか」「タスクの進捗が不透明にならないか」といった点です。あなたの職務経歴書や面接でのアピールは、これらの採用担当者の不安を先回りして払拭する役割を担っています。オフィスワークとリモートワークでは、評価されるポイントやその見せ方が下記のように異なります。
評価ポイント | オフィスワークでの確認方法 | リモートワークで求められるアピール |
---|---|---|
自己管理能力・勤怠 | 出社・退社時間、業務中の様子など、物理的な拘束で管理しやすい。 | タスク管理ツール(Asana, Trello等)を用いた進捗の可視化、始業・終業時の主体的な報告、安定した業務パフォーマンスの実績。 |
業務遂行・生産性 | 隣の席で作業状況を確認したり、気軽に声をかけて進捗を確認できる。 | 設定されたKPIや目標に対する達成率、業務改善による工数削減、主体的な課題発見と解決策の実行といった定量的な成果。 |
コミュニケーション | 会議室での議論、雑談など、偶発的なコミュニケーションも含めて頻度が高い。 | チャットツール(Slack, Microsoft Teams等)での迅速かつ的確なレスポンス、オンライン会議での積極的な発言やファシリテーション能力。 |
チームワーク・協調性 | チームメンバーと協力して仕事を進める様子を直接確認できる。 | オンライン上での情報共有の仕組み作り、ドキュメント作成によるナレッジ共有、他部署を巻き込んだプロジェクトの推進実績。 |
このように、リモートワークでの成果を語ることは、採用担当者の懸念を払拭し、「この人なら安心して仕事を任せられる」という信頼を獲得するための重要なプロセスなのです。
リモートワーク実績は、市場価値を高める強力な武器になる
リモートワーク環境下で成果を出すためには、オフィスワーク以上に高度なスキルが求められます。それは、自らを律する「自己管理能力」、指示を待たずに動く「自律性」、そして目に見える形で成果を示す「成果創出力」です。
つまり、リモートワークでの実績を具体的にアピールできるということは、単に与えられた業務をこなしたという事実だけでなく、これらのポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)を高いレベルで有していることの何よりの証明になります。これは、変化の激しい現代のビジネス環境において、どんな状況でも価値を発揮できる人材であるという強力なシグナルとなり、あなたの市場価値を大きく高める武器となるのです。
採用担当者はココを見ている リモートワーク経験者に求める3つの能力
リモートワークが普及した現在、採用担当者は候補者の経歴を新たな視点で見極めようとしています。オフィス勤務とは異なり、働く姿が直接見えないリモート環境では、候補者が持つ潜在的な能力やスタンスが、入社後のパフォーマンスに大きく影響するからです。特に、これまでのリモートワーク経験を通じて培われた能力は、即戦力として活躍できるかどうかの重要な判断材料となります。
ここでは、元人事部長の視点から、採用担当者がリモートワーク経験者に特に求める3つの重要な能力について詳しく解説します。
自己管理能力と自律性
オフィスのように上司や同僚の目がない環境で、自らを律し、安定して高いパフォーマンスを発揮できる能力は、リモートワーカーにとって最も基本的な素養です。採用担当者は、候補者が「誰かに管理されなくても、自ら業務を推進できる人材か」を厳しくチェックしています。
タスク・時間管理の徹底
自律性の根幹をなすのが、タスクと時間の管理能力です。複数のプロジェクトが並行して進む中で、自ら優先順位をつけ、計画的に業務を遂行できるかが問われます。面接や職務経歴書では、単に「自己管理が得意です」と述べるだけでなく、具体的な手法や使用ツールを交えて説明することが重要です。
例えば、以下のようなエピソードは高く評価されます。
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- NotionやAsanaといったタスク管理ツールを用いて、チーム全体のタスクの進捗を可視化し、ボトルネックを早期に発見・解消した経験。
- ポモドーロテクニックやタイムブロッキングを実践し、自宅での集中力を維持することで、残業時間を月平均10時間削減しつつ、生産性を前年比で15%向上させた実績。
-週の初めに自身のタスクを洗い出し、工数を見積もった上でスケジュールを立て、上長に共有することで、期待値のズレを防ぎ、円滑な業務連携を実現したこと。
主体的な課題発見と解決
指示を待つだけでなく、自ら業務上の課題を見つけ、改善策を立案・実行できる主体性も、自律性を示す重要な要素です。プロセスが見えづらいリモートワークでは、こうした当事者意識を持った人材の価値がより一層高まります。過去の経験から、自らの意思で行動し、状況を好転させた具体例を準備しておきましょう。
環境に左右されないコミュニケーション能力
リモートワークにおけるコミュニケーションは、そのほとんどがテキストベース、あるいはWeb会議システムを介して行われます。対面での「空気を読む」といった非言語的なコミュニケーションが制限されるため、より論理的で、正確かつ円滑な意思疎通能力が求められます。
テキストコミュニケーションの質
チャットツール(SlackやMicrosoft Teamsなど)でのやり取りは、リモートワークの生命線です。採用担当者は、候補者が書く文章から、その人の思考の整理能力や他者への配慮を読み取ろうとします。特に以下の点は、評価を大きく左右します。
評価されるポイント | 具体的な行動例 |
---|---|
結論ファースト | 質問や報告の際に、まず結論や要点を最初に伝え、その後に背景や詳細を記述する。相手が瞬時に内容を理解できるよう配慮する。 |
情報の網羅性 | 相手が「それで、何が知りたいの?」「この後どうすればいい?」と再質問しなくて済むよう、5W1Hを意識し、必要な情報を一度のメッセージに盛り込む。 |
非同期を前提とした配慮 | 相手がすぐに返信できない状況を想定し、オープンなチャンネルで情報を共有したり、ドキュメントに記録を残したりすることで、業務の属人化を防ぐ。 |
オンライン会議での貢献度
Web会議も重要なコミュニケーションの場です。ただ参加するだけでなく、会議の生産性を高めるための貢献ができるかどうかも見られています。例えば、事前にアジェンダを読んで自分の意見をまとめておく、ファシリテーターを補佐して議論が脱線しないよう軌道修正する、決定事項を議事録としてドキュメント化するといった行動は、主体性と協調性の両方を示すアピールになります。
成果に対するコミットメント
リモートワークでは、勤務時間や働く姿勢といった「プロセス」が見えにくいため、評価の比重は必然的に「成果(アウトプット)」に置かれます。そのため、採用担当者は候補者が「目標達成への強い意欲を持ち、確実に成果を出せる人材か」を最も重視します。
成果の定量化と再現性
職務経歴書や面接で成果をアピールする際は、誰が聞いても納得できる「定量的」な指標を用いることが鉄則です。「頑張りました」といった主観的な表現ではなく、「〇〇という課題に対し、△△という施策を実行した結果、売上を前年同期比120%に向上させました」のように、具体的な数字で語る必要があります。これにより、あなたの貢献度が客観的に伝わるだけでなく、その成果を新しい職場でも再現できる可能性が高いと判断されやすくなります。
STARメソッドによる論理的な説明
成果を効果的に伝えるためのフレームワークとして「STARメソッド」の活用が有効です。これは、状況(Situation)、課題(Task)、行動(Action)、結果(Result)の4つの要素でエピソードを構成し、論理的に説明する手法です。
- Situation(状況): どのようなチームやプロジェクトに、どのような立場で関わっていたか。
- Task(課題): その状況で、どのような目標や課題、役割を担っていたか。
- Action(行動): 課題解決や目標達成のために、具体的にどのような行動を取ったか。(ここがあなたのアピールポイントです)
- Result(結果): あなたの行動によって、どのような成果(数字)がもたらされたか。
このフレームワークに沿ってリモートワークでの実績を整理することで、あなたの強みや貢献が採用担当者に明確に伝わり、高く評価されるでしょう。
リモートワークで評価された成果を見つける自己分析のステップ

リモートワークでの成果を効果的にアピールするためには、まず自分自身の実績を正しく把握し、整理することが不可欠です。オフィス勤務とは異なる環境で、どのような価値を発揮してきたのかを客観的に見つめ直す自己分析のプロセスが、説得力のある職務経歴書や面接での受け答えにつながります。
ここでは、誰でも実践できる3つのステップで、あなたの隠れた成果を見つけ出す方法を具体的に解説します。
ステップ1 業務の棚卸しと可視化
最初に行うべきは、リモートワーク期間中に担当した業務をすべて洗い出し、可視化することです。記憶に頼るだけでなく、記録として書き出すことで、自分では当たり前だと思っていた業務の中に、アピールすべき工夫や成果が隠れていることに気づけます。
リモートワーク期間の業務をすべて書き出す
まずは、直近1〜3年程度の期間に区切り、担当したプロジェクト、日々のルーティン業務、関わったタスクを大小問わずすべてリストアップします。その際、どのようなツール(例: Slack, Microsoft Teams, Asana, Notion)を使って、誰と、どのように連携していたのかも具体的に書き出してみましょう。
業務内容 | 期間 | 役割 | 使用ツール | 工夫した点・課題 |
---|---|---|---|---|
新規顧客向けオンラインセミナーの企画・運営 | 2023年4月〜6月 | プロジェクトリーダー | Zoom, Slack, Googleスプレッドシート, Salesforce | 登壇者との事前打ち合わせを密に行い、進行トラブルを未然に防いだ。参加者からの質疑応答をリアルタイムでスプレッドシートに集約し、スムーズな回答を実現した。 |
月次レポート作成と定例報告 | 毎月 | 担当者 | Google Analytics, Excel, PowerPoint | 報告フォーマットを改善し、主要KPIの変動要因を分かりやすく可視化。報告時間を15分短縮した。 |
チーム内のナレッジ共有Wikiの構築 | 2023年1月〜継続中 | 主担当 | Notion, Slack | 情報が属人化していた課題に対し、誰でも必要な情報にアクセスできるWikiを構築。新メンバーのオンボーディング期間を3日短縮することに貢献した。 |
オフィス勤務時との違いと工夫を洗い出す
次に、洗い出した業務について「もしオフィス勤務だったらどう進めていたか?」を想像し、リモートワークならではの工夫や乗り越えた課題を明確にします。「テキストコミュニケーションで誤解が生じないよう、要点を箇条書きにした」「非同期のコミュニケーションを円滑にするため、タスク管理ツールに背景や目的を詳しく記載した」など、細かな工夫があなたの自律性やコミュニケーション能力を示す重要なエピソードになります。
ステップ2 数字で語る定量的な成果の整理
業務の棚卸しができたら、次はそれらの成果を具体的な「数字」に落とし込みます。採用担当者は、客観的な事実に基づいた定量的な成果を最も重視します。数字はあなたの貢献度を具体的かつ説得力をもって伝えるための強力な武器です。
成果を数値化する5つの切り口
「自分の仕事は数字にしにくい」と感じる方もいるかもしれません。しかし、以下の5つの切り口で考えることで、多くの業務が数値化可能になります。
- 売上/利益への貢献:売上〇%アップ、成約件数〇件増加、顧客単価〇円向上 など
- コスト削減:経費〇%削減、外注コスト〇万円削減、残業時間〇時間削減 など
- 時間/効率の改善:業務時間〇時間短縮、作業効率〇%向上、対応スピード〇%アップ など
- 品質/顧客満足度の向上:顧客満足度アンケート〇点向上、エラー発生率〇%低減、クレーム件数〇件削減 など
- 規模/量の拡大:WebサイトのPV数〇%増、担当顧客数〇社増加、セミナー参加者数〇名 など
STARメソッドで成果を構造化する
成果を伝える際には、背景やプロセスも合わせて説明することで、より説得力が増します。そこで役立つのが、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字を取った「STARメソッド」です。このフレームワークに沿って成果を整理することで、誰が聞いても分かりやすいアピールが完成します。
フレーム | 内容 |
---|---|
Situation (状況) | リモートワークへの完全移行に伴い、従来の訪問営業ができなくなり、チーム全体の新規アポイント獲得数が前年比で30%減少している状況でした。 |
Task (課題) | オンラインでの新たなリード獲得手法を確立し、月間20件の新規アポイントを獲得するという目標が課せられました。 |
Action (行動) | 過去の失注顧客リストを分析し、オンラインセミナーへの参加を促すメールマーケティングを企画・実行しました。また、ウェビナーツールを駆使し、参加者のエンゲージメントを高める双方向のコンテンツを導入しました。 |
Result (結果) | 3ヶ月間で計6回のセミナーを実施し、平均30名の集客に成功。結果として、月平均25件の新規アポイントを獲得し、目標を125%達成。この手法をチームに展開し、チーム全体の売上を前年比110%まで回復させました。 |
ステップ3 数字にできない定性的な成果の言語化
すべての成果が数字で測れるわけではありません。特にリモートワークでは、自己管理能力やコミュニケーションの工夫、チームへの貢献といった「定性的な成果」も高く評価されます。これらの見えにくい功績を的確に言語化することで、あなたの人間性やポータブルスキルを効果的にアピールできます。
リモートワーク特有の課題解決経験を掘り下げる
「コミュニケーション不足」「孤独感」「オンオフの切り替えの難しさ」といったリモートワーク特有の課題に対して、あなたがどのように向き合い、解決してきたのかを具体的に語れるように準備しましょう。これは、あなたの主体性や問題解決能力を示す絶好の機会です。
- 例1(コミュニケーション):「テキストコミュニケーションだけでは伝わりにくいニュアンスを補うため、週に一度、チームで雑談メインのオンラインミーティングを自主的に企画し、チームの心理的安全性の向上に貢献しました。」
- 例2(自己管理):「自宅での作業に集中するため、ポモドーロ・テクニックを導入し、タスクの進捗を毎日夕方にチームのSlackチャンネルで共有することを習慣化。安定した生産性を維持しました。」
チームへの貢献や業務改善といった「見えにくい功績」を言語化する
自分の業務範囲を超えて、チームや組織全体に良い影響を与えた経験も重要なアピールポイントです。新メンバーのサポート、業務マニュアルの作成、非効率なプロセスの改善提案など、あなたの働きかけによって生まれたポジティブな変化を具体的に説明しましょう。
アピールしたい能力 | 具体的なエピソード |
---|---|
主体性とリーダーシップ | 部署内で使用しているプロジェクト管理ツール(Asana)の運用ルールが曖昧で形骸化していたため、率先して利用ガイドラインを作成・展開しました。その結果、タスクの進捗状況が可視化され、チーム全体の生産性が向上しました。 |
協調性と巻き込み力 | 他部署との連携で情報伝達の遅延が課題となっていました。そこで、共有のSlackチャンネルを作成し、定期的な情報共有会を設定することを提案・実行。部署間のスムーズな連携体制を構築し、プロジェクトの納期遅延を未然に防ぎました。 |
学習意欲と適応力 | リモート環境での顧客対応を効率化するため、新たに導入されたCRMツール(HubSpot)の操作方法を自主的に学習。習得した知識を基に簡易マニュアルを作成し、チームメンバーの早期習熟をサポートしました。 |
これらの3つのステップを通じて自己分析を行うことで、あなたは自信を持ってリモートワークでの成果を語れるようになります。次の章では、これらの分析結果を基に、職種別の具体的な書き方と例文を紹介します。
職種別 評価されるリモートワーク成果の書き方 例文集
リモートワークでの成果は、職種によってアピールすべきポイントが異なります。
ここでは、主要な4つの職種(営業・エンジニア・マーケティング・バックオフィス)について、採用担当者の心に響く成果の書き方を具体的な例文とともに解説します。ご自身の経験と照らし合わせながら、職務経歴書や自己PR作成の参考にしてください。
営業職の成果の書き方
リモートワーク環境下の営業職には、従来の対面営業とは異なるスキルが求められます。特に、オンラインツールを駆使した顧客接点の創出能力や、非対面での信頼関係構築スキルは高く評価されます。成果を記述する際は、単なる売上数字だけでなく、リモート環境に適応するためにどのような工夫や行動をしたのかを具体的に示すことが重要です。これにより、自己管理能力と自律性をアピールできます。
ポイント | OK例文 | NG例文 |
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具体的な行動と成果 | リモートワーク移行後、オンライン商談に特化した営業手法を確立。Zoom及びSalesforceを活用し、商談化率を前年同期比で15%向上させました。特に、移動時間が削減された分を顧客への提案資料の質向上に充て、パーソナライズされた提案を徹底した結果、四半期目標を125%達成しました。 | リモートワークでも営業活動を行い、目標を達成しました。 |
プロセスの工夫 | インサイドセールスチームと密に連携するため、Slack上に専用チャンネルを作成し、毎日15分の朝会を実施。リードの質やアプローチ状況をリアルタイムで共有する仕組みを構築した結果、チーム全体の受注件数が前四半期比で20%増加しました。 | チームと連携して営業活動を行いました。 |
書き方のポイント解説
OK例では、「Zoom」「Salesforce」「Slack」といった具体的なツール名を挙げることで、読み手が働く姿をイメージしやすくなります。また、「商談化率15%向上」「目標125%達成」といった定量的な成果と、「パーソナライズされた提案」「情報共有の仕組み構築」といった定性的な工夫(プロセス)を組み合わせることで、再現性の高いスキルを持っている人材であることを効果的に伝えられます。
エンジニア職の成果の書き方
エンジニア職のリモートワークでは、個人の開発スキルはもちろんのこと、チームとしての生産性をいかに高めたかという視点が重要視されます。非同期コミュニケーションを円滑にするための工夫や、ドキュメント文化の醸成、開発プロセスの改善といった、自律的な貢献が評価の対象となります。コードを書くだけでなく、チーム開発を円滑に進めるための行動を示しましょう。
ポイント | OK例文 | NG例文 |
---|---|---|
チームへの貢献 | フルリモート環境での開発効率向上のため、JiraとGitHubの連携を強化し、チケット起票からプルリクエスト、デプロイまでを自動でトラッキングできる仕組みを導入。これにより、チーム全体のコードレビューにかかる時間を平均20%削減し、開発のリードタイム短縮に貢献しました。 | Jiraを使ってタスク管理を行いました。 |
自律的な課題解決 | 新規プロジェクトにおいて、API仕様書のドキュメントが不足し、手戻りが発生していた課題に対し、Swaggerを用いたドキュメントの自動生成と、Confluenceでの運用ルールを策定・展開しました。結果として、仕様に関する問い合わせが半減し、メンバーがより開発に集中できる環境を構築しました。 | ドキュメントを整備しました。 |
書き方のポイント解説
NG例のように担当業務を羅列するだけでは、あなたのスキルや貢献度は伝わりません。OK例のように、「どのような課題があったか」「その課題に対して自身がどう考え、行動したか」「結果としてチームやプロジェクトにどのような良い影響を与えたか」というストーリーで語ることが重要です。技術的な成果だけでなく、コミュニケーションやプロジェクトマネジメントに関する貢献をアピールすることで、リモート環境でも活躍できるエンジニアであることを証明できます。
マーケティング職の成果の書き方
マーケティング職のリモートワークでは、データに基づいた施策立案・実行能力に加え、オンラインでの円滑なプロジェクト推進能力が問われます。オフラインイベントの開催が難しい中、いかにしてオンラインチャネルで成果を上げたか、また、部署内外の関係者を巻き込み、リモート環境でプロジェクトを完遂させた経験は大きなアピールポイントになります。
ポイント | OK例文 | NG例文 |
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データに基づく施策 | コロナ禍でオフラインセミナーの実施が不可能になったため、ウェビナー施策へ完全移行。Google AnalyticsやMAツール(Marketo)のデータを分析し、参加率の高いテーマや時間帯を特定。月2回のウェビナーを企画・実行し、3ヶ月で新規リードを500件獲得、商談化率を従来のセミナー比で5%改善しました。 | ウェビナーを実施してリードを獲得しました。 |
プロジェクト推進力 | 新サービスの認知度向上のため、Webサイトのコンテンツマーケティングを企画。Asanaを用いてタスクとスケジュールを可視化し、ライターやデザイナーなど外部パートナーを含めた5名体制のプロジェクトをリモートで完遂。予定通り3ヶ月で20本の記事を公開し、リリース後半年でオーガニック検索からの月間流入数を300%増加させました。 | コンテンツマーケティングを担当しました。 |
書き方のポイント解説
マーケティング職の成果は、具体的な数字(KPI)で示すことが鉄則です。「リード獲得数」「商談化率」「流入数」などを明記することで、あなたの実績が客観的に伝わります。また、OK例のように「Asana」「Marketo」といったツール名を記載することで、どのような環境で業務を遂行してきたのか、入社後も即戦力として活躍できるかを採用担当者が判断しやすくなります。
バックオフィス職の成果の書き方
経理、人事、総務などのバックオフィス職は、リモートワークへの移行によって業務プロセスの変革を最も求められた職種の一つです。そのため、「いかに業務を効率化し、会社全体の生産性向上に貢献したか」という視点が評価されます。ペーパーレス化の推進、オンラインでの社内制度構築、コミュニケーション活性化の施策など、守りの業務だけでなく、攻めの改善提案をアピールしましょう。
ポイント | OK例文 | NG例文 |
---|---|---|
業務改善・効率化 | 全社的なリモートワーク移行に伴い、紙ベースだった請求書処理の電子化を推進。クラウド会計ソフト「freee」と経費精算システム「楽楽精算」を導入し、申請から承認までのフローをオンラインで完結できる体制を構築しました。これにより、月間の処理時間を約40時間削減し、経理部門の月次決算を2営業日短縮することに成功しました。 | 請求書処理を担当していました。 |
制度設計・環境構築 | (人事職)リモート環境下での社員の孤独感やコミュニケーション不足を課題と捉え、オンラインでの雑談を促進するツール「oVice」の導入を提案・実行。また、月1回のオンライン全社集会や、部署横断のオンラインランチ会を企画・運営し、従業員エンゲージメントサーベイのスコアを半年で10ポイント向上させました。 | 社員のコミュニケーション活性化に努めました。 |
書き方のポイント解説
バックオフィス職の成果は、売上のように直接的な数字で示すことが難しい場合もあります。その場合は、「月間40時間の削減」「決算の2営業日短縮」「エンゲージメントスコアの10ポイント向上」のように、効率化や改善度合いを具体的な数値で示すことが有効です。課題発見から解決までのプロセスを具体的に記述することで、あなたの主体性や課題解決能力を高く評価してもらえます。
※これはNG※ 人事が見送るリモートワーク実績のアピール例

リモートワークでの輝かしい実績も、伝え方を一歩間違えれば、採用担当者に「自己管理能力が低いのでは?」「チームで働く意識が欠けているのでは?」といったネガティブな印象を与えかねません。
ここでは、多くの転職者が見落としがちな、人事の視点で見送りにつながるNGアピール例を具体的に解説します。ご自身の職務経歴書や面接での発言と照らし合わせ、アピール方法をブラッシュアップしていきましょう。
抽象的で具体性に欠ける表現
最も多いNG例が、具体性のない抽象的なアピールです。「頑張りました」「貢献しました」といった言葉だけでは、採用担当者はあなたの働きぶりをイメージできません。リモート環境下で、あなたが「何を」「どのように」工夫し、「どのような結果」を出したのかを、客観的な事実や数字を交えて伝えることが重要です。
NGアピール例 | 改善アピール例 |
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リモートワークでも、チームメンバーと円滑なコミュニケーションを心がけました。 | 週1回のWeb定例会議に加え、毎日15分のオンライン朝会を主催し、チームの進捗共有と課題の早期発見に貢献しました。また、チャットツール(Slack)では、質問に対し平均1時間以内に一次返信するルールを徹底し、プロジェクトの遅延を防ぎました。 |
自己管理を徹底し、オフィス勤務と変わらない生産性を維持しました。 | タスク管理ツール(Asana)を活用し、自身の担当業務をすべて可視化。週次で進捗レポートを作成・共有することで、オフィス勤務時を10%上回る月間平均11件の新規契約を獲得しました。 |
主体的に業務に取り組み、プロジェクトを推進しました。 | 担当プロジェクトにおいて、不明点や課題が発生した際は、受け身で指示を待つのではなく、自ら関連部署の担当者にWeb会議を依頼。主体的に課題解決に取り組んだ結果、リリース予定を3日前倒しで達成できました。 |
「当たり前」を実績としてアピールする
リモートワークであっても、社会人としての基本的な行動は「できて当たり前」と判断されます。これらを実績としてアピールしてしまうと、「他にアピールできる実績がないのだろうか」「ビジネスパーソンとしての基準が低いのでは?」と、かえってマイナス評価につながる恐れがあります。
以下のようなアピールは避けましょう。
- 始業時間には必ずオンライン状態にしていました。
- オンライン会議には一度も遅刻せず参加しました。
- チャットでの連絡には必ず返信していました。
- 日報を毎日欠かさず提出していました。
では、どう言い換えれば良いのか?
これらの「当たり前の行動」に、あなたならではの「付加価値」や「工夫」を加えて語ることができれば、評価されるアピールに変わります。行動の先にあった目的や、それによってもたらされたポジティブな影響をセットで伝えましょう。
(例)「始業時には、チーム全員がその日の業務内容や相談事項を把握できるよう、チャットで自身のタスクリストと共有事項を連絡するルールを自主的に開始しました。これにより、メンバー間の業務重複がなくなり、チーム全体の作業効率が約5%向上しました。」
環境やツールへの不満・他責思考な発言
リモートワークでは、通信環境のトラブルやツールの不具合など、予期せぬ問題が発生することもあります。その際に、会社や環境のせいにするような他責思考な発言は、問題解決能力や主体性の欠如と見なされ、採用担当者に強い懸念を抱かせます。
面接などで、以下のような発言は禁物です。
- 会社のVPNが不安定で、業務効率が落ちることが多かったです。
- 使い慣れないコミュニケーションツールを導入されたため、成果が出しにくかったです。
- 上司がリモートワークに不慣れで、的確な指示がもらえず苦労しました。
採用担当者が知りたいのは、不満ではなく「制約のある環境下で、どのように工夫して成果を出したか」という点です。課題に対して、自身がどのように働きかけ、状況を改善しようと試みたのかをポジティブに語ることで、環境適応能力や課題解決能力をアピールできます。
チームへの貢献度が伝わらない「個人プレー」のアピール
リモートワークでは個々の自律性が求められますが、それ以上に「チームとして機能しているか」が重要視されます。自分の成果だけを強調し、チームへの貢献や連携について言及がないと、「この人は協調性がないのでは?」「入社後、孤立してしまうのではないか?」という印象を与えてしまいます。
特に、以下のようなアピールは注意が必要です。
- 私は自分のタスクを黙々とこなし、常に納期を守っていました。
- 他のメンバーの進捗はあまり気にせず、自分の目標達成に集中していました。
個人の成果を語る際には、それが「どのようにチームや組織全体の目標達成に繋がったのか」という視点を加えることが不可欠です。個人のパフォーマンスと、チームへの貢献をセットでアピールすることで、リモート環境下での協調性と成果創出能力の両方を示すことができます。
(例)「自身の担当タスクを2日前倒しで完了させ、その時間を活用して遅れが出ていた〇〇さんの業務をサポートしました。具体的には、資料作成の一部を巻き取ることで、〇〇さんの負担を軽減し、結果としてチーム全体のプロジェクト納期遵守に貢献することができました。」
まとめ
リモートワークでの成果を効果的に伝えることは、転職成功に不可欠です。
採用担当者は、環境に左右されない「自己管理能力」「コミュニケーション能力」「成果へのコミットメント」を重視しています。
本記事で解説した自己分析のステップを踏まえ、自身の業務経験から定量的・定性的な成果を具体的に言語化しましょう。
職種別の例文を参考に、あなたの強みが的確に伝わる職務経歴書を作成し、希望の企業からの内定を勝ち取ってください。
