職務経歴書で成果を効果的に伝えることで、採用担当者に強くアピールでき、書類選考の通過率も大きく向上します。
この記事では、成果の正しい書き方や成功事例、企業が重視するポイントなどを網羅的に解説し、誰でも魅力的な職務経歴書を作成できる具体的なノウハウを提供します。
職務経歴書で成果を記載する重要性について

転職活動やキャリアアップを目指すうえで、職務経歴書は自分の経験やスキルを採用担当者へ伝える最も重要な書類です。
その中でも、単なる業務内容の羅列だけでなく「どのような成果を上げたのか」を明確に記載することが、書類選考を通過するための大きなポイントとなります。
採用担当者は多くの応募者の中から、自社に貢献できる人材かどうかを短時間で判断する必要があります。
その際、「成果」を具体的に記載しておくことで、自分の能力や実績を客観的にアピールでき、説得力のある職務経歴書に仕上げることができます。
また、成果は業務遂行能力だけでなく、問題解決力や主体性、責任感といったビジネスパーソンとして重視される要素を反映します。
そのため、採用する側は業務内容だけでなく、応募者がどのような価値を提供できるのかにも注目しています。
職務経歴書に成果を記載することの主なメリットは、以下の通りです。
メリット | 詳細 |
---|---|
自分の強みを具体的に伝えられる | 実際の成功体験や業績を通じて、単なるスキル以上の価値を証明できる |
採用担当者の印象に残りやすい | 実績数字や具体的なエピソードは、抽象的な表現よりも記憶に残りやすい |
自社での再現性をイメージしてもらいやすい | 前職での成果から、入社後の活躍イメージを持ってもらえる |
たとえば同じ営業職の職務内容であっても、「新規顧客開拓に従事」とだけ記載するのと、「新規顧客50社を開拓し、売上を前年比120%に拡大」と成果を明記するのとでは、受ける印象に大きな差が生まれます。
このように、職務経歴書で成果を記載することは単なるアピールではなく、自己分析をもとに自分の強みや成長を言語化し、企業が求める人材像とマッチングしやすくするための不可欠な要素と言えるでしょう。
成果の書き方 基本ポイントと共通ルール
職務経歴書において、成果を魅力的かつ適切に伝えるためには、いくつかの基本ポイントと共通ルールを押さえておくことが重要です。
以下では、実際に評価される職務経歴書を作成する際に必ず意識すべきポイントを、具体例や整理表を交えて解説します。
数字や具体的な実績でアピールするコツ
成果を記載する際は、必ず定量的な情報を盛り込むことがポイントです。
「売上を伸ばした」や「業務効率化に取り組んだ」といった漠然とした表現よりも、具体的な数値や事例を使うことで採用担当者に直接インパクトを与えられます。
例えば、売上高アップなら金額や伸び率、業務効率化なら時間短縮やコスト削減額など、客観的な指標で成果を示しましょう。
悪い例 | 良い例 |
---|---|
新規顧客を増やした | 新規顧客数を前年より30%増加(50社→65社) |
作業を効率化した | 月間事務作業時間を20時間削減(80時間→60時間) |
このように、誰が読んでも成果の程度や内容がわかるような表現を心がけましょう。
企業や職種別で異なる成果表現の工夫
職務経歴書で成果を記載する際、企業や職種ごとに重視されるポイントが異なるため、単に数字を並べるだけでなく、業界や職種の特徴に即した表現も工夫する必要があります。
たとえば、営業職では売上や契約件数が重視される一方、事務職では業務の正確性やミス削減、ITエンジニアであれば開発期間の短縮やシステム安定稼働がアピールポイントとなります。
また、応募先企業が求める人物像やポジションを意識して、成果の強調点を変えることも大切です。
職種 | アピールポイント例 |
---|---|
営業職 | 売上金額、達成率、契約件数、受賞実績 |
事務・バックオフィス | 業務改善、効率化、コスト削減、ミス削減率 |
IT/技術職 | プロジェクト完了率、品質指標、システム安定稼働時間 |
このように、読み手や職種に応じて使う言葉や示す実績の種類を調整し、職務の専門性や成果の価値がより伝わるよう整理しましょう。
アクションと結果を明確に分けて書く方法
成果を記載する際は、単に「やったこと」だけでなく、「どう取り組み、その結果どうなったか」というアクション(行動)と成果(結果)を分けて書くことが大切です。
具体的な手順や工夫点も併せて伝えることで、再現性や汎用性を説明でき、評価されやすくなります。
要素 | 記載例 |
---|---|
アクション(行動) | 新規開拓のため、ターゲットリストを作成し、毎月20社に電話アプローチを実施 |
結果 | 新規顧客数を30%増加し、部門売上目標を達成 |
このように、具体的な行動とそこから生まれた成果の両方を書くことで、職務経歴書の説得力が大幅に高まります。
職務経歴書の成果を書くときのNG例と注意点
職務経歴書で成果をアピールすることは重要ですが、内容や表現方法によっては逆効果となることもあります。
ここでは、採用担当者からマイナス評価につながりやすいNG例と、成果記載時に注意すべきポイントを具体的に解説します。
曖昧な表現や抽象的な言葉を避けるポイント
成果を示す際に「頑張った」「努力した」「貢献した」などの抽象的な言葉だけを使うと、具体的なイメージが伝わらず、評価につながりません。
また、「営業成績が良かった」「多くのお客様に満足していただいた」など、比較・根拠となる数字や事実が不足している場合も同様です。
NG表現 | 問題点 | 改善例 |
---|---|---|
営業成績が好調だった | 具体性がなく実績が伝わらない | 前年比120%の売上を3年間連続で達成 |
事務作業の効率化に貢献した | 成果の度合いや範囲が不明確 | 書類処理フローの改善により、月あたり20時間の工数削減を実現 |
このように、エピソードや実績はできる限り具体的な数字や定量的な根拠を加え、客観的事実に基づいた表現へと修正しましょう。
自己評価に偏り過ぎない記述の仕方
職務経歴書で自分の成果を強調したいあまり、客観性を欠いた表現や主観的な言葉ばかりが並ぶと、信憑性に疑問を持たれる場合があります。
特に、「自分こそが最も貢献した」「独自の力で問題を解決した」など、過度な自己評価は避けるべきです。
また、成果をアピールする際は、自分の役割や工夫、チーム内での連携や協力も含めて記載すると、バランスのとれた記述となります。
例えば、プロジェクトの成功を全て自分の功績のように書くのではなく、チームでの達成や上司・関係者との協働について触れるようにしましょう。
NG表現 | 問題点 | 改善例 |
---|---|---|
チームを自らのリーダーシップで成功に導いた | 主観的で協働の視点が不足 | チームメンバーとの協力体制を築き、プロジェクト目標を1ヶ月前倒しで達成 |
誰よりも高い成果を上げた | 他者の実績を軽視しがち | 部内平均売上を上回る個人実績を達成(部内平均150万円/月に対し自分は200万円/月) |
このように、実績の根拠やチームの働きにも触れ、謙虚さと客観性を持った伝え方を心がけることが大切です。
成果が伝わる職務経歴書の成功事例

職務経歴書において成果を明確に記載することで、採用担当者へのアピール力が大きく高まります。
ここでは、実際の職種ごとに成果の書き方や成功事例を紹介します。
分かりやすく表現するために、具体的な数字・行動・結果のバランスや、業種ごとの求められる成果の特徴を押さえましょう。
営業職の成果事例
数字・プロセス・受賞歴を活用した成功例
営業職では、売上や契約数などの定量的な成果が重視されます。
また、営業活動の工夫や社内外での評価もポイントです。
以下の事例は、数字・プロセス・受賞歴の三軸で整理しています。
ポイント | 記載例 |
---|---|
売上実績 | 2023年度、首都圏エリア担当として、前年度比120%となる2億4,000万円の売上を達成 |
営業プロセスの工夫 | 新規顧客開拓のため、テレアポの手法と提案資料を刷新し、従来比で商談化率を15%向上 |
受賞歴 | 2022年、社内表彰「ベストセールスアワード」受賞(営業成績上位5%以内) |
このように数字や客観的評価を盛り込むことで、成果の具体性が伝わります。
事務職・バックオフィス職の成果事例
業務効率化やコスト削減をアピールする書き方
事務職やバックオフィス職では、業務の効率化・正確性向上・コスト意識などが評価ポイントです。数値と改善内容を組み合わせて記載しましょう。
ポイント | 記載例 |
---|---|
業務効率化 | 社内申請書類の電子化を提案・主導し、年間で150時間の作業時間を削減 |
コスト削減 | 事務用品の発注ルール再構築により、消耗品コストを前年比20%削減 |
正確性アップ | 給与計算フローの見直しを実施し、ミス率を0.5%未満に低減 |
定量的な指標や改善策をセットで書くことが重要です。
IT・技術職での成果の伝え方
開発プロジェクトや改善活動の事例
ITエンジニアや技術職は、プロジェクト単位での貢献や技術力・課題解決力などがアピールポイントです。
取り組みの規模やインパクトを明記しましょう。
プロジェクト・成果 | 記載例 |
---|---|
システム開発 | ECサイトの決済システム再構築をリーダーとして担当し、リリース後トラブルゼロを達成。ユーザー数が2万人増加 |
業務プロセス改善 | バッチ処理最適化により、月次集計作業の工数を30%短縮 |
新技術導入 | AI自動分析システムの導入提案が採用され、データ処理の正確性を向上 |
技術や開発の詳細な数値・ビフォーアフターを明示すると、アピール力が高まります。
マネジメント・管理職の成果事例
チーム成果とリーダーシップの具体例
管理職やマネージャーは、組織目標の達成度・部下の育成・組織改革などが求められます。
個人だけでなくチーム全体の成果を示しましょう。
マネジメント項目 | 記載例 |
---|---|
チーム業績 | 10名の営業チームをマネジメントし、目標比130%の売上を3期連続で達成 |
部下の成長支援 | OJTを強化し、メンバー3名が社内表彰を受賞 |
組織改善 | 在宅勤務導入プロジェクトを主導し、離職率を5%まで改善 |
「結果」だけでなく、リーダーシップやメンバーへの働きかけ、全体成果への貢献度を記すことで説得力を持たせましょう。
採用担当者が評価するポイントと求める視点
企業が注目する成果の本質
採用担当者が職務経歴書で最も注目するのは、単なる業務の羅列ではなく、その人がどのような「成果」をどのような「プロセス」で出したかという点です。
大切なのは、自己の貢献によって企業やチームにどんな価値をもたらしたのかを具体的に説明することです。
企業規模に関係なく、成果の本質は「自社にどのようなメリットをもたらしてくれる人物か」を見極める材料となります。
成果を表現する際には売上アップやコスト削減といった経営へのインパクト、社内の課題解決や業務効率化、新規顧客獲得、定着率改善など多岐にわたる視点が評価されます。
成果の種類 | 評価されるポイント |
---|---|
数値的成果 | 売上増、コスト削減、利益率向上、担当案件数など明確な数値 |
プロセス成果 | 課題発見力、改善提案、業務フローの最適化、新規施策の推進 |
人的・組織的成果 | チーム育成、離職率低減、社内コミュニケーション向上 |
認知・表彰 | 社内外からの表彰、クライアント満足度向上、表彰歴 |
採用担当者は、成果だけでなく、その裏にある課題の把握力や、どのように周囲を巻き込んで結果を出したのかという「プロセス」にも注目しています。
そのため「自分がなぜその成果を出すことができたのか」を説明できると説得力が増し、採用の合否を左右する要素となります。
職務経歴書の具体性と納得感を高める方法
採用担当者が「この人に会ってみたい」と感じる職務経歴書には、必ずと言っていいほど“具体性”と“納得感”があります。
つまり、誰が読んでもイメージしやすい数値・エピソード・プロセスが明記されていることが重要です。
具体的には、担当したプロジェクトの規模や人数、達成率や前年比など、客観的なデータを使って成果を説明しましょう。
さらに、どのような課題があり、どんな工夫や調整をして、どんな結果につなげたのかまで丁寧に記載すると、納得感が生まれます。
記載内容 | 具体的な書き方例 |
---|---|
プロジェクトの規模 | 5名のチームリーダーとして、半年間で売上を120%に拡大 |
担当範囲 | 営業戦略の立案から実行、分析、改善提案まで担当 |
成果に貢献した工夫 | 既存顧客向けの提案書を刷新し、受注率を前年対比30%向上 |
定量的データ | 年間コストを200万円削減し、業務効率化を実現 |
また、同じ成果でも応募する企業に合わせて表現を調整することが、より評価を高めるポイントです。
たとえば、顧客志向が強い企業には顧客満足度やクレーム削減の実績を強調するなど、企業の価値観に沿ったエピソードを盛り込むと、採用担当者の心に響きます。
成果をより魅力的に伝える職務経歴書作成のコツ
職務経歴書は、成果を効果的に伝えることで、採用担当者に強い印象を与える重要な書類です。
ここでは、成果をさらに魅力的に伝えるための工夫やポイントを紹介します。
第三者の視点で文章をチェックする習慣
自身で書いた職務経歴書を客観的に見直すことは、説得力の向上に欠かせません。
友人や家族、キャリアコンサルタントなど第三者にチェックしてもらうことで、主観的な表現や独りよがりな記述を防ぐことができます。
また、入力ミスや誤字脱字の発見にもつながり、完成度の高い職務経歴書作成に役立ちます。第三者目線を意識することで、説得力や読みやすさの点でも改善が可能です。
チェックポイント | 具体的な確認内容 |
---|---|
分かりやすさ | 専門用語や略語の多用で、内容が理解しづらくなっていないか |
客観性 | 事実に基づく数字や実績で裏付けされた内容になっているか |
誤字・脱字 | 表現の誤りや記載漏れがないか細かくチェックされているか |
応募企業ごとにカスタマイズする意味
複数の企業に応募する場合、職務経歴書の内容を同じまま使い回してしまう人が少なくありません。
しかし、応募する企業ごとに職務経歴書をカスタマイズすることで、より魅力的にアピールできます。
なぜなら、企業が求める人物像や評価するポイントは異なっており、「自社でどのように活躍できるか」が伝わる内容が重視されるからです。
以下のポイントを意識して、応募先に合わせた職務経歴書の作成を行うと、採用担当者からの評価も高まります。
カスタマイズのポイント | 具体的な実践方法 |
---|---|
企業ニーズの分析 | 求人票や企業ホームページから、重視されているスキルや人材像を把握する |
マッチする成果経験の強調 | 応募先で活かせる実績や経験を具体的に強調する |
言葉選び・用語の最適化 | 企業文化にふさわしい表現や業界用語を採り入れて記載する |
このように、第三者の視点でチェックしつつ、応募先に合わせたカスタマイズを心がけることで、職務経歴書に記載した成果はより魅力的かつ説得力のあるものとなります。
また、自己PRや志望動機との一貫性を意識することで、全体的な印象の強化にもつながります。
納得感のある職務経歴書を仕上げるためにも、細かな配慮と工夫を怠らないことが重要です。
まとめ
職務経歴書で成果を伝えるには、数字や具体的な事例、アクションと結果を明確に分けて記載することが不可欠です。
営業職から事務職、IT職、管理職まで、業種ごとに成果の表現を工夫し、応募先企業が重視する視点を意識しましょう。
客観的かつ具体的な記述が、三菱UFJ銀行やトヨタ自動車のような大手企業でも高く評価されるポイントです。
