「履歴書を書くのは面倒くさい」、「履歴書に何を書けばいいかわからない」というときに、「生成AIで履歴書を作ってみようかな」と考えたことのある方も多いのではないでしょうか。
特に近年は生成AIの精度が高まりつつあり、無料で利用できるAIツールが普及していることから、積極的にAIを活用したいという人が増えつつあります。
そこで今回は、生成AIで履歴書を作成するメリットとデメリット、そして注意点についてご紹介してまいります。
生成AIとは

生成AI(ジェネレーティブAI)とは、コンテンツやアイデアを新しく生み出すことのできるAI(人工知能)のことです。
音声生成AIや画像生成AIなどが普及しており、それぞれのAIがインターネット上のデータを参考にして学習し、瞬時に新しいコンテンツを提供してくれるため、表現やデザインの幅を大きく広げることができます。
特に履歴書を作成する際に使用する人が多いのは、「文章生成AI」です。
履歴書用の文章をAIで生成する方法
履歴書用の文章をAIで生成したい時は、文章生成AIに対して、以下のような例文を入力します。
「あなたはキャリアコンサルタントです。
私は就職活動中の学生で、履歴書を書いています。
以下の情報を基に、志望動機と自己PRを書いてください。
志望企業概要:飲料メーカーで、海外進出と認知拡大に力を入れている。
志望動機概要:学生時代に、中国に留学した語学力を活かしたい。
日本の美味しい飲料の魅力を、海外に伝えたい。
自己PR概要:日常会話レベルの中国語が話せる。
大学時代は、飲食店でアルバイトをしており、バイトリーダーとして顧客満足度の向上に注力した。」
上記のように入力すると、30秒程度で生成AIが文章を作成してくれます。
もし、文章量が足りないと思った時は、「200文字程度で作成してください」のように指示を出せば、十分な文章量で内容を再構成することも可能です。
志望動機や自己PRの欄は、少なくとも8割程度は文章を記入して提出する必要があるため、十分な文字数を目指す上で、生成AIを活用する方も増加傾向にあります。
また履歴書作成ツールなどが独自の生成AIシステムを開発し、指定のフォーマットに情報を入力するだけで履歴書用の文章が作成できるツールも、順次リリースされています。
自分で作成した文章をAIに添削してもらう方法
生成AIの可能性は、無限大です。
先ほどご紹介したように、履歴書に記入する文章そのものを生成AIに考えてもらうことも可能ですが、自分で書いた文章を添削してもらうために生成AIを活用することができます。
「あなたはキャリアコンサルタントです。
就職活動中の私が書いた文章を、より魅力的な内容に書き換えてください。」と指示を出し、自分で書いた文章を入力すれば、生成AIに文章を添削してもらうことが可能です。
履歴書をAIで作成するメリット・デメリット

履歴書の内容をAIで作成することは、誰でも無料で可能です。
実際にAIを活用して履歴書を作成する上では、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
メリット①タイムパフォーマンスに優れている
生成AIは、指示を出すとすぐにアイデアを提案してくれます。
志望動機や自己PRのように、「何を書けばいいかわからず、筆が進まない」と時間を無駄にすることなく、瞬時にコンテンツが完成しますので、履歴書作成にかかる時間を短縮でき、企業分析や自己分析に集中することができるというメリットがあります。
特に志望動機は、応募先の企業の特性や業種に合わせて、内容を微調整する必要があります。
複数の企業や業界に履歴書を提出したい場合は、それぞれの企業に合わせた内容を考案する手間がかかり、煩わしく思う方も多いです。
その点、生成AIを活用すれば、企業分析を通して見えてきた企業の特徴を入力するだけで、生成AIが内容を微調整してくれるため、効率よく履歴書作成を進めることができます。
メリット②採用担当者の目に留まる内容に仕上がる
自分の経歴を最大限にアピールした文章を作成してくれるのが、生成AIの特徴です。
日本人の美徳として、自身の能力やスキルを謙遜して書く人が多い中、生成AIは応募者の魅力をストレートに伝える力強い文章を作成できるという強みをもっているので、採用担当者に対してしっかりとアピールできるというメリットがあります。
「自分で自身のPRを書くことが苦手」、「上手に文章をまとめる自信がない」という方には、生成AIが役に立ちます。
デメリット①「丸写し」はNG
生成AIの技術は発展途上であり、自分の情報や企業研究で感じたことをどんなに丁寧に入力しても、「手直し不要な、完全無欠の文章」を生成するまでには至っていません。
履歴書作成にAIを活用するのであれば、どんなに時間がなくても、AIが作成した文章を今一度自分で推敲して、適宜自分の言葉に置き換えてから、履歴書に記入しましょう。
デメリット②生成AIの情報は必ずしも正確ではない
一般的な生成AIは、インターネット上の情報を学習し、コンテンツやアイデアを創造しています。
しかし、インターネット上の情報は必ずしも真実が書かれているとは限りませんので、間違った情報や虚偽の情報に基づいて、生成AIが文章を作成してしまっている可能性があります。
そのため、「生成AIが作成した情報は、全て正しい」とは決して思いこまず、真偽が不確かな部分は、必ず自分で最終確認をしてから、履歴書に記入するようにしてください。
AIを活用して履歴書を書くときのポイント

生成AIは非常に便利なツールです。
今後の社会においても、上手く活用することでより一層の業務効率化を目指す可能性を秘めたツールですので、AIを使いこなすことは、社会人としてのスキルアップにもつながります。
実際に履歴書作成にAIを活用するのであれば、どのような点に注意が必要なのか、確認しておきましょう。
ポイント①募集要項を必ずチェックする
履歴書作成にAIを活用することは問題ありませんが、募集要項にて「履歴書やエントリーシートの作成に、生成AIの使用は禁止する」との記載がある場合は、その限りではありません。
生成AIを履歴書作成に禁止している企業では、自分自身でオリジナルの文章を作成できる人材を求めていたり、実際の業務において生成AIの使用を禁止している企業であったりする可能性があります。
「絶対AIを使ってもバレないだろう」、「ちょっとだけなら問題ないだろう」と思わず、応募先の企業のルールを遵守できること、自分自身で文章を作成できる能力があることを伝えるために、生成AIを使用しないように注意してください。
ポイント②「差別化」を意識する
生成AIは、誰でも気軽に使える便利なツールです。
しかし誰でも使用可能ということは、個性が出にくいというデメリットもあります。
採用担当者は、何人もの応募書類に目を通すため、「さっきも似たような文章を読んだな」、「他の人と同じような内容だな」と感じてしまうと、マイナスの評価をつける可能性が高くなります。
生成AIで作成した文章を他の応募者と差別化するためには、以下の点を意識することが大事です。
- 自己分析や企業研究に時間を書けて、生成AIに指示する内容をより詳細なものにする
- 生成AIが作成した文章を、自分の言葉に置き換える
- 日本語のルールや情報の真偽を確認し、不自然ではない文章に調整する
この3点を守れば、オリジナリティーがある文章に仕上がり、履歴書の評価が上がりやすくなります。
ポイント③文章量を調整する
履歴書は、新卒用や一般用、パート・アルバイト用など様々なフォーマットがあり、それぞれのフォーマットごとに、記入すべき項目や欄のスペースが異なります。
志望動機や自己PRのように、自分の考えを文章にして記入する必要がある記入欄は、そのスペースの8割以上の記入が目安となります。
生成AIが作成した文章が短すぎる場合には、再度生成AIに指示を出したり、自分の言葉を書き加えるなどして、記入欄の8割以上まで内容を膨らませましょう。
反対に、記入欄をオーバーしてまで文章を書くことはできません。
記入欄に収まりきらない内容は、職務経歴書やエントリーシートなどに記入することにして、履歴書の枠をはみ出さないように注意してください。
履歴書作成は「文章生成AI」と「履歴書作成ツール」の併用がおすすめ!

「履歴書の内容を考える時間がない」、「履歴書の作成をとにかく効率的に進めたい」という場合は、生成AIの利用と同時に、スマホやパソコンのブラウザから利用できる「履歴書作成ツール」の活用がおすすめです。
履歴書作成ツールは、生成AI同様に、効率的な履歴書作成に取り組む上での必須ツールです。
修正が容易
履歴書を手書きで作成していると、書き損じた場合に1から書き直す手間がかかります。
せっかく購入した用紙も無駄になってしまいますが、パソコンやスマホから履歴書作成ツールを使えば、入力を間違えた部分をすぐに修正することができて、効率良く履歴書を作成できます。
生成AIの文章をそのままコピー&ペーストで貼り付けて、自分の言葉にアレンジする操作も、簡単に行うことができます。
印刷&保存がラク
履歴書作成ツールは、コンビニプリント対応のものを選べば、すぐにコンビニで印刷ができます。
また、PDFファイルのように、そのまま企業に送付できる形での保存もワンクリックで対応可能なので、応募先の企業からの指定に合わせて、すぐに送付できるというメリットがあります。
職務経歴書やエントリーシートも作成可能
履歴書作成ツールのなかでも、履歴書のフォーマットが充実しており、職務経歴書やエントリーシートのひな形が登録されているサイトを使用することで、同じ文字フォントや文字サイズのまま、提出書類一式を統一感のある仕上がりにまとめることができます。
職務経歴書やエントリーシートも生成AIの力を借りながら、履歴書作成ツールを使ってまとめることで、効率的に準備をすることが可能です。
