履歴書に空白期間があると、「なぜ働いていなかったのか?」「問題がある人物では?」と採用担当者に疑問を持たれることがあります。
しかし、適切な理由と前向きな表現で記入すれば、評価につながる可能性も。
この記事では、空白期間の具体的な書き方や職歴欄・備考欄への適切な記入例、企業に好印象を与えるポイントを徹底解説します。
空白期間を不安材料にせず、あなたの強みに変えるヒントを得られます。
履歴書で空白期間が注目される理由

履歴書における空白期間は、多くの企業の採用担当者が特に注意して確認する項目です。
空白期間とは、前職を退職してから次の職場に就職するまでの間に、就業実績や学業実績が記載されていない期間を指します。
この空白期間にどのような事情があったのか、どのように過ごしていたかが記されていることで、応募者の人となりや意欲、能力に対する理解が深まります。
企業が空白期間を気にする背景
企業が空白期間を重視するのは、「なぜその期間働いていなかったのか」という理由が採用の判断材料となるからです。
離職理由や転職活動のプロセス、健康状態、家庭の事情など、さまざまな可能性がある一方で、その空白期間に何をしていたのかを説明できないと、「問題があったのではないか」といったネガティブな懸念を持たれやすいのです。
また、長期のブランクがある場合は、ビジネススキルや実務感覚に影響が出ていないかについても懸念されることがあります。
少子高齢化・働き方の多様化に伴う変化
近年では少子高齢化による人手不足や、働き方改革、副業解禁などの社会的背景もあり、空白期間の存在が以前ほどマイナスに評価される傾向は弱まってきています。
特に、自己啓発や資格取得、ボランティア活動、介護や子育てなど、個人的事情や前向きな目的によるブランクには一定の理解が示される場合もあります。
しかしそれでも、履歴書上で説明が一切ない場合や、理由が曖昧なままだと不安を抱かれてしまう可能性があるため、客観的かつ誠実に記述することが重要です。
空白期間から読み取られる人物像
採用担当者は、空白の事実そのものよりも、「その期間をどう過ごしていたか」「どのように向き合っていたか」を通じて、応募者の価値観や仕事に対する姿勢、問題解決能力、人柄を評価しようとします。
例えば、自己研鑽に努めていた人は向上心や主体性があると見なされますし、家族の介護などに誠実に取り組んでいた場合は責任感や思いやりがあると評価されます。
空白期間に向き合う姿勢が明確であれば、必ずしもネガティブな印象にはなりません。
面接や書類選考での影響
書類選考の段階で履歴書上の空白期間についての記述が曖昧だと、マイナス評価や足切りの原因にもなりえます。
また、面接時には高い確率で空白期間について質問されるため、履歴書に適切な情報を記載しておけば、その後の説明もしやすくなります。
あらかじめ質問を想定して一貫したストーリーを準備しておくことで、採用担当者に対して信頼感を与えられます。
空白期間に関する一般的な不安と誤解
多くの求職者が「空白期間があると不利になるのではないか」と不安に感じますが、現代の採用市場では必ずしもそうではありません。
実際に、IT・介護・物流・建設など人材不足が深刻な業界では、一定の空白期間があっても採用される事例が多くあります。
また、中高年の転職市場では、ブランクよりも経験やスキル、意欲を重視する企業も増えています。重要なのは、期間の長さそのものではなく、納得感のある説明と、再び働くことへの明確な意志を持っているかどうかです。
空白期間の情報整理に役立つ要素
確認されるポイント | 企業が注目する理由 | 対策 |
---|---|---|
空白期間の理由 | 継続的な就業意欲の有無を判断 | 誠実かつ簡潔に背景を記述 |
期間の長さ | 実務感覚の維持ができているか確認 | ブランク中の活動を具体的に記載 |
活動内容 | スキルアップや自律性の有無 | 資格取得・勉強・ボランティアなども記載 |
説明の一貫性 | 信頼性や誠実さを測る指標となる | 履歴書と面接で齟齬のない説明を心がける |
このように、履歴書における空白期間が注目されるのは、単なる就業履歴だけでは測れない人間性や仕事に対する姿勢を推し量るヒントが含まれているためです。
だからこそ、空白期間がある場合には「正確に、肯定的に、戦略的に」履歴書に記載することが、採用への第一歩となります。
空白期間がある場合でも印象を良くするポイント
嘘は書かないことの重要性
履歴書において空白期間を埋めようとして、事実と異なる内容を記載することは非常にリスクがあります。
採用担当者は職務経歴や人柄に一貫性があるかを重視しており、面接や書類審査において矛盾が生じると信頼を失う可能性があります。
特に背景調査や前職への在籍確認が行われる企業では、虚偽の記載が内定取り消しにつながることもあります。
あくまで誠実さを貫き、事実を前向きに伝えることが好印象につながります。
ポジティブな表現に言い換えるテクニック
空白期間がある場合には、単に「ブランク」ととしてではなく、そこで得た経験や気づきをポジティブに言い換えることが大切です。
言葉の選び方だけで印象が大きく変わります。
NG表現 | ポジティブな表現 | 説明 |
---|---|---|
仕事をしていなかった | スキルアップに専念していた | 受身ではなく、主体的な活動として表現することで向上心をアピール |
病気で休職 | 体調管理を見直し、健康を取り戻した | 復帰できる状態であることを明確にし、安心感を与える言い方に |
就職活動がうまくいかなかった | 自己分析と目標設定に時間をかけた | 前向きに自己研鑽していたことを伝える |
ネガティブな内容も、言い換え方一つで前向きに伝えることができます。「選考に落ちた」のではなく、「自分に合う職場を慎重に探していた」と表現する等、状況を好転させる伝え方を意識しましょう。
空白期間を成長期間と捉える書き方
空白期間を「失われた時間」としてではなく、自分を見つめ直す機会、スキルアップのための準備期間として書くことは非常に重要です。
これは転職市場での自己ブランディングの一環としても有効です。
たとえば、家族の介護に専念していた場合には、「ライフマネジメント能力を培った」「困難な状況で冷静な判断力を養った」など、ビジネスでも活かせる能力として言及できます。
以下のように、目的や学びを明確にした記載が効果的です。
空白の背景 | 成長としてのアピール例 |
---|---|
資格取得の勉強 | 専門知識を習得し、業務上の即戦力を目指した |
家庭の事情による離職 | 多様な立場を理解し、対人スキルを高めた |
長期の就職活動 | 自分に最適なキャリアを見直し、目標を再設定した |
このように空白期間を自己成長のプロセスとして捉えることで、マイナス要素がプラスに転じます。
履歴書では単なる事実の羅列ではなく、「なぜその期間があったのか」「何を得たのか」を丁寧に記載することが、好印象を与える鍵となります。
履歴書の空白期間を記入する際の基本ルール
年月の表記方法
履歴書における空白期間の年月表記は、統一感と正確さが求められます。
一般的には「西暦」または「和暦」のいずれかに統一して記入します。特に日本企業では、和暦(令和・平成など)の使用が今なお一般的であるため、現在使用しているフォーマットに合わせましょう。
年月の記載は「○○年○○月~○○年○○月」形式で記載し、期間が明確にわかるようにします。
空白期間が短期間(2〜3ヶ月など)である場合でも、省略せずに記入することをおすすめします。原因や理由が明確であれば、たとえ短くても違和感なく受け止めてもらえます。
職歴欄・備考欄のどちらに書くか
空白期間を履歴書に記載する際は、「職歴欄」「備考欄」「本人希望記入欄」のいずれかに記入します。
空白期間が長期間(6ヶ月以上)にわたる場合や、特別な事情がある場合は、職歴欄内で時系列に応じて記載するのが自然です。期間とそれに付随する簡潔な説明を加えることで、流れを阻害せず伝えることが可能です。
一方で、短期間(数ヶ月)のブランクや、説明が簡潔で済むもの(資格取得準備など)については、備考欄にまとめて記載することも有効です。
採用担当者は職歴欄で全体のキャリアを把握し、備考欄で補足情報を参照するため、情報を分けることで読みやすさが向上します。
ただし、記入しないまま空白のままにしておくと、マイナスの印象を与える可能性が高いため、どの欄に記載するか迷った場合は、職歴欄に簡潔に触れつつ、詳細は備考欄で補足する形を取りましょう。
理由を書く際の適切な長さと語彙の選び方
空白期間の理由は、簡潔かつ前向きに記載するのがポイントです。
長文になると回りくどく、読み手に負担を与えてしまうため、50〜100文字程度を目安にまとめるのが適切です。
あくまで「職務経歴の補足情報」としての位置付けを意識しましょう。
以下に、記入時の語彙選びのコツを整理します。
状況 | NG表現 | 推奨表現 |
---|---|---|
病気療養 | 病気で働けませんでした | 通院治療に専念し、現在は完治・就業に差し支えありません |
資格取得 | 勉強していて何もしていませんでした | ●●資格の取得に向けて計画的に学習・準備に取り組みました |
家族の介護 | 家庭の事情により休職 | 家族の介護に注力し、現在は落ち着いて就業可能です |
転職活動 | なかなか決まりませんでした | 自己分析やスキルアップを図りながら転職活動を継続していました |
海外留学 | 旅行をしていました | 語学力の向上と異文化理解を目的として短期留学・滞在をしていました |
上記のように、ネガティブな語彙や説明は避け、主体性や成長意欲が伝わる言葉を選んで表記することが重要です。
また、企業の業種や職種に応じて、関連性のある経験やスキルを表現すると、印象アップが期待できます。
また、空白期間の理由を表現する際は、「〜のため働ける状況ではなかった」ではなく、「〜を経て現在は万全であり、就業可能な状態です」というように、最終的に前向きに締めくくる文章構成を意識しましょう。
空白期間別の履歴書記入例
病気療養による空白期間の例
安心感を与える回復の明記方法
病気やケガによる空白期間がある場合、履歴書には療養の事実を簡潔に記載し、その後の回復と現在の就業可能な状態であることを明確に伝えましょう。
企業側は応募者の健康状態と職務への影響を懸念するため、「現在は完全に回復しており、業務に支障はありません」といった表現を含めると効果的です。
職歴欄に空白がある場合は、備考欄に記載するのが一般的です。
期間 | 内容 |
---|---|
2022年4月 〜 2022年12月 | 病気療養のため、自宅にて静養。現在は完治しており、業務に支障なく勤務可能な状態です。 |
資格取得のための空白期間の例
努力と意欲を伝える記述のコツ
空白期間中に資格取得の勉強をしていた場合は、その目的や取り組みの内容を明確に記述しましょう。
どの資格を目指していたか、学習方法やスケジュール管理・学びの姿勢を伝えることで、向上心や計画性、自己管理能力をアピールできます。
資格を取得済みであれば、その実績も記載しましょう。
期間 | 内容 |
---|---|
2023年1月 〜 2023年6月 | キャリアチェンジのため、宅地建物取引士の資格取得に専念。独学にて学習を進め、2023年5月に合格。業務に必要な法務知識を習得しました。 |
家族の介護による空白期間の例
責任感や人柄をアピールする表現
介護が理由の空白期間は、社会的にも理解が得られやすいため、正直に説明することで誠実さや家庭を大切にする人柄を印象づけられます。
ただし、業務復帰できる状態であることを必ず添えましょう。
「介護の体制が整ったことで、就業が可能となりました」など、前向きな変化に触れましょう。
期間 | 内容 |
---|---|
2021年7月 〜 2022年11月 | 家族(父)の在宅介護のため離職。在宅介護サービスの利用により、支援体制が整ったため、再就職を希望しております。現在はフルタイム勤務が可能です。 |
転職活動中の空白期間の例
自己分析やスキルアップの取り組みを伝える
転職活動が長引いた場合は、単に「転職活動中」とするのではなく、その期間に行っていた自己分析やスキルアップ、業界研究などの具体的な取り組みを記載することで前向きな印象を与えられます。
学んだことや成果を明記することで行動力と意識の高さを示せます。
期間 | 内容 |
---|---|
2023年3月 〜 2023年9月 | 前職退職後、キャリアの方向性を見直すため転職活動に専念。自己分析・キャリアカウンセリングを通じ、IT業界への転向を決意。関連書籍で基本知識を習得し、オンライン講座にてWebマーケティングを学習しました。 |
海外留学・ワーキングホリデーによる空白期間の例
語学力や自己成長をアピールするポイント
海外留学やワーキングホリデーは、語学力や異文化理解、行動力をアピールできる貴重な経験です。
その目的、現地での活動内容、得たスキルや価値観を明確に記載しましょう。
旅行との違いや、キャリアへの活用可能性を示すと好感度が高まります。
期間 | 内容 |
---|---|
2022年1月 〜 2022年12月 | オーストラリアにてワーキングホリデーを経験。語学学校に通いながら、現地カフェで接客業に従事。日常英会話力の習得に加え、多国籍な環境での柔軟性や異文化コミュニケーション力を身に付けました。 |
履歴書への空白期間の記入に役立つ具体文例
実際に使える書き換え例
履歴書に空白期間を記入する際は、ただ単に理由を述べるのではなく、読み手である採用担当者に安心感や納得感を与える表現が重要です。
以下は、シーン別に避けるべき表現と、印象をよくする文例の書き換え例を整理したものです。
空白期間の理由 | 避けたい表現 | 好印象を与える書き換え例 |
---|---|---|
病気療養 | 体調不良で長期間働けませんでした。 | 病気療養のため一定期間休養しておりましたが、現在は回復し、就業に問題はありません。 |
資格取得 | 仕事が見つからなかったため、資格を取りました。 | 将来を見据え、キャリアアップを目的として◯◯資格の取得に専念しておりました。 |
家族の介護 | 親の介護のため仕事を辞めていました。 | 家族の介護に専念する期間を取りましたが、現在は十分な体制が整い、就業が可能です。 |
転職活動 | 転職が決まらず、しばらくブランクがありました。 | 自己分析と今後のキャリアを見つめ直す時間を取りながら、スキル向上にも努めました。 |
海外渡航(留学・ワーキングホリデー) | 遊びたかったので海外に行きました。 | 語学力向上と多様な文化理解のため、◯◯国に留学・滞在し実務経験を積みました。 |
職務経歴書への併記方法
履歴書に記載しきれない空白期間の詳細は、職務経歴書に補足として記載することで、より誠実かつ具体的なアピールになります。
以下に空白期間の併記のポイントと具体文を紹介します。
- 職務経歴の最終項目終了後に「空白期間の補足」欄を設ける
- 簡潔な経緯 + 就業への意欲を明記する
例)
【空白期間の補足】
2022年4月〜2023年3月まで、家族の介護のため離職し在宅で生活しておりました。
介護体制が整った現在、再び社会貢献をしたいという強い意志を持ち、再就職を希望しております。
在宅期間中には、介護福祉に関する知識を深めるために、○○研修を受講しました。
このように、職務経歴書では具体的な行動や学びの要素、再就職への意欲を明示することで、空白期間のマイナスイメージを払拭できます。
企業に好印象を与えるフレーズ集
履歴書・職務経歴書に記載する際、採用担当者にポジティブな印象を与えるには、使う言葉・フレーズの慎重な選定が必要です。
以下に、空白期間をポジティブに伝えるためのフレーズを紹介します。
目的・状況 | 使用可能なフレーズ例 |
---|---|
活動の主旨を伝える | 「今後のキャリア形成を見据え」 「自身の適性を見つめ直す期間として」 |
行動内容を説明 | 「資格取得に取り組んでおりました」 「在宅でスキルアップに努めました」 |
再就職への意欲 | 「現在は就業開始に支障はなく、再スタートを強く希望しております」 「今までの経験を活かし、より貢献できる職を求めております」 |
回復・安定を伝える | 「健康状態は完全に回復しており、業務に問題はありません」 「生活環境が安定し、就業可能な体制が整いました」 |
空白期間の価値づけ | 「自己成長のための有意義な期間でした」 「今後に活かせる経験・知見を得た時間でした」 |
これらのフレーズを状況に応じて組み合わせることで、事実を隠さず誠実に伝えつつ、前向きな印象を与える工夫が可能になります。
空白期間を“ただのブランク”ではなく、自己成長や準備期間として捉えられるような文章構成を心がけましょう。
空白期間がある人におすすめの職種・業界
空白期間に寛容な業界とは
近年、労働市場において多様な人材を受け入れる動きが加速しており、空白期間があっても柔軟に評価してくれる業界が増加しています。
特に、以下のような業界では「人物本位」や「スキル重視」で採用を行っているため、過去の経歴にとらわれずポテンシャルを重視してくれる傾向があります。
業界 | 特徴 | 好まれる人材像 |
---|---|---|
介護・福祉業界 | 人手不足が続き、未経験やブランクに寛容な傾向。資格取得支援制度も充実。 | 人柄・責任感・思いやりが重要視される |
IT業界(エンジニア・Web系) | スキル重視の傾向が強く、独学やスクールで学んだ知識も評価対象。 | 学習意欲・新しい技術への関心・問題解決力 |
物流・倉庫業 | 人手不足を背景に採用意欲が高い。未経験からでも始めやすい。 | 体力・協調性・責任感 |
接客・サービス業 | 顧客対応力やコミュニケーション能力が重視され、職歴より人柄が問われる。 | 明るさ・対応力・柔軟性 |
ベンチャー・スタートアップ | 多様な経歴を歓迎する企業が多い。ポテンシャルや柔軟性が評価される。 | チャレンジ精神・スピード感・学習能力 |
このような業界では、職務経験が空いてしまった理由よりも、現在のスキルや姿勢、業務への理解を重視する傾向があります。
そのため、空白期間中に身につけたスキルやマインドセットがあれば積極的にアピールすることが重要です。
評価されやすいスキルや経験
空白期間中でも日常的に得られるスキルや、過去の経験から派生するスキルの中には、応募先企業にとって大きな価値となるものもあります。
以下に、評価されやすいスキルとその理由をまとめます。
スキル・経験 | 具体例 | 企業が評価する理由 |
---|---|---|
PCスキル(Excel・Word・メール操作) | 空白期間中にMOSなどの資格を取得 | 汎用性が高く多くの業種で役立つ |
語学力(英語・中国語など) | 留学や独学でTOEIC高得点を取得 | グローバル対応やインバウンド需要への強み |
介護・福祉関連の知識や資格 | 介護職員初任者研修などを取得 | 高齢化社会において即戦力として期待される |
タイムマネジメント力 | 資格取得のために計画的な学習を継続 | 自己管理能力が高い証明となる |
マインド系スキル(忍耐力・責任感) | 家族介護を通じて培った経験 | 業務を継続する力や人間性が伝わる |
空白期間の内容によって、これらのスキルや経験が自然に身についていることも珍しくありません。
履歴書では簡潔に記しつつ、職務経歴書や面接でその活用可能性や学びを丁寧に伝える工夫が必要です。
また、社会人向けプログラムや職業訓練(ハローワーク主催のものも含む)を利用していた場合なども、主体的な取り組みとして評価されやすいため、具体的に記載することが推奨されます。
採用担当者が語る 空白期間の評価ポイント

マイナスではなくストーリーで語れるか
採用担当者は履歴書を見る際、職務経歴やスキル以上に、「どのような経緯でそのキャリアが形成されてきたのか」という点にも注目します。
空白期間は一見マイナス要素と捉えられがちですが、その期間をどのように過ごし、どのような学びや成長があったのかを語れるかが重要です。
たとえば、病気療養の期間であっても、回復に向けた努力や、生活習慣の改善に取り組んだこと、リモートで読書や学習をしていた経験などがあれば、それは前向きな内容として評価の対象になります。
重要なのは、「なぜその期間が必要だったのか」「現在はどうか」「今後はどうしていくつもりか」というストーリーを一貫性のある流れで説明できることです。
また、空白期間後の再就職・転職において、なぜその企業を志望するのかといった意志の一貫性があると、採用担当者の信頼を得やすくなります。
過去の出来事を包み隠さず、誠実に振り返りながら、自身の未来への意欲につなげて語ることが、マイナス印象の払拭につながります。
誠実さと納得感のある説明が鍵
空白期間について採用担当者がもっとも重視するのは、「正直に説明しているか」と「説明に筋が通っているか」です。
どんな理由であれ、うまくごまかそうとしたり、端的すぎて説明が曖昧であったりすると、信頼性に欠けてしまいます。
応募者の誠実な姿勢が伝われば、「この人は信用できる」「長く働いてくれそう」といった印象につながる可能性が高まります。
空白期間の説明において採用担当者が見るポイントを以下の表にまとめました。
評価項目 | チェック内容 | 評価されるポイント |
---|---|---|
理由の明確さ | 空白期間の原因とその背景が簡潔に説明されているか | 納得感があり、責任転嫁せずに語れている |
継続性 | これまでのキャリアとの一貫性があるか | ブレのないキャリアビジョンを持っている |
再出発への意欲 | 現在の応募への動機が熱意を持って伝えられているか | 今後のキャリアに本気で取り組む姿勢が見える |
成長要素 | 空白期間中に得た経験やスキルがあるか | 前向きな取り組みに価値を見出している |
誠実さ | 虚偽や誇張の内容がないか | 信頼できる人物として印象づけられる |
実際、多くの採用担当者は「空白期間があること」自体よりも、その説明や考え方の中身を重視しています。
社会人として責任感のある対応ができているか、正直な性格であるかといった部分が、そのまま企業への適応力や定着性の判断材料になります。
また、説明の際の語彙や言い回しにも注意が必要です。ネガティブな表現を避け、「その中でも〜に取り組みました」「これをきっかけに〜を学びました」といった説明は、ポジティブな印象を与える効果があります。
対話の姿勢を常に持ち、採用担当者と信頼関係を構築する姿勢が、結果として選考通過率を高める要素になります。
履歴書の空白期間をカバーするその他の工夫
職務経歴書や自己PRでの補足
履歴書ではスペースの制約から詳細な説明が難しいため、空白期間に関する説明は職務経歴書や自己PR欄で補足するのが効果的です。
特に職務経歴書では、空白期間中に取り組んだ活動や学びを時系列で整理しながら記載できるため、採用担当者に具体的なイメージを持ってもらいやすくなります。
たとえば、病気療養をしていた場合は「治療と並行して○○に関する書籍を読み、復職後にスムーズに業務へ戻れるようリハビリに取り組みました」など、ポジティブな行動を伝えることが重要です。
また、自己PR欄では、空白期間で得た気づきや視野の広がりを「自己成長」「セルフマネジメント能力」などのキーワードで表現しましょう。
面接前の準備と質問対策
採用担当者は、履歴書に空白期間がある場合、面接の場でその理由に触れることが一般的です。
事前に誠実かつ簡潔に説明できるよう準備しておくことで、印象を大きく変えることが可能です。
空白期間について尋ねられた場合、事実を端的に伝えた上で、「現在はどのような状態で、なぜこの求人に応募したのか」「空白期間中に得た経験から何を学び、それが今後の業務にどう活かせるのか」を整理して伝えることが効果的です。
以下に、よくある空白期間のケースと、面接での伝え方の例を表にまとめました。
空白期間の理由 | 面接での説明例 | アピールポイント |
---|---|---|
病気療養 | 一定期間、治療に専念していましたが、現在は完治しており就業に問題ありません。 | 自己管理能力、回復に向けた努力 |
資格取得 | ○○の資格に集中して取り組み、無事取得しました。スキルを実務で活かしたいと考えています。 | 継続力、専門スキル |
家族の介護 | 家族の介護に専念しましたが、現在は環境が整い、長期的に勤務可能です。 | 責任感、調整力、計画性 |
転職活動 | 自己分析とスキル整理を行いながら慎重に転職活動を行っていました。 | 慎重さ、自主的行動 |
留学・ワーキングホリデー | 語学習得と異文化経験を目的に○○へ渡航し、帰国後はその経験を活かせる環境を探していました。 | 語学力、適応力、国際感覚 |
面接の中では、嘘をつくことや過度な美化は避け、なるべく具体的なエピソードを交えて説明することがポイントです。
準備を怠らず、模擬面接などを活用して練習することで説得力が増します。
業務やスキルを証明できる資料の準備
空白期間中に行った活動や学習内容が充実している場合、それを証明できる資料を用意すると説得力が高まります。
例えば、以下のような資料が有効です。
- 取得した資格の証明書
- オンライン講座の修了証(Udemy、Schoo、キャリアカレッジなど)
- ポートフォリオ(Webデザイン、ライティング、プログラミングなど)
- ボランティア活動の証明書や推薦状
- 語学試験のスコア(TOEIC、英検、JLPTなど)
これらの資料は、履歴書や職務経歴書には書ききれない実力を裏付ける効果があります。
面接時に提出できるよう整えておくとともに、デジタル形式(PDFやWebポートフォリオ)でも提出可能な状態にしておくとスムーズです。
就職支援機関や専門アドバイザーの活用
思うように説明ができなかったり、空白期間をどう処理すれば良いか悩んでいる場合には、ハローワークや転職エージェント、再就職支援センターなどの専門機関を活用するのも有効です。
以下に活用できる主な支援機関を示します。
支援機関名 | 特徴 | 主な支援内容 |
---|---|---|
ハローワーク | 公共機関/全国対応 | 職業相談、履歴書添削、面接対策 |
東京しごとセンター | 東京都運営/年代別キャリア相談 | 履歴書・職務経歴書の指導、セミナー |
DODA、リクルートエージェント | 民間の転職エージェント | 求人紹介、書類添削、面接練習 |
東京ジョブカフェ | 若年層向け支援機関 | キャリア相談、ビジネスマナー研修 |
これらの機関では無料で相談できるところも多く、専門家のアドバイスによって履歴書や職務経歴書をより効果的に作成できるだけでなく、空白期間の説明方法にも的確なアドバイスがもらえます。
前向きな印象を与えるビジュアルの工夫
履歴書や職務経歴書のレイアウトやフォント選びも、空白期間の印象に少なからず影響します。
丁寧な作成を心がけることで、書類全体の信頼感や誠実さをアピールできます。
たとえば、以下のポイントに気を付けるとよいでしょう。
- 文字サイズは読みやすい10.5pt〜11pt程度に設定
- 見出しや実績が目立つように余白を工夫
- フォントはMS明朝、游ゴシック、メイリオなど視認性の高いものを使用
- 整った整列とインデントで誠実さを演出
特に空白期間の説明部分は、他の職歴と同様にしっかりフォーマットを整えることで、「隠していない」「堂々としている」といった好印象につながります。
まとめ
履歴書における空白期間は、正直に、かつ前向きに伝えることで印象を大きく変えることができます。
病気療養や介護、資格取得、転職活動などの理由がある場合は、日本語として自然かつ誠実な表現を心がけましょう。
採用担当者はストーリー性と納得感、そして成長の軌跡に注目します。適切な文例を活用し、職務経歴書や面接準備でも補完することで、空白期間をマイナスではなくプラスに変えることが可能です。
