履歴書の職歴にできてしまった空白期間(ブランク)。「選考で不利になるのでは…」「採用担当者にマイナスの印象を与えたらどうしよう…」と、書き方に悩んでいませんか。結論から言うと、空白期間があるからといって、必ずしも選考で不利になるわけではありません。大切なのは、その期間に何をしていたのかを正直に、そして前向きに伝えることです。
この記事では、採用担当者の視点を踏まえ、空白期間が不利にならない履歴書の書き方を、人事のプロが徹底解説します。病気療養、資格取得、留学、介護など【理由別】の具体的な記入例から、職務経歴書での補足方法、面接で質問されたときのベストな答え方まで網羅的にご紹介します。この記事を読めば、あなたの空白期間に関する不安は解消され、自信を持って選考に臨めるようになります。
履歴書の空白期間は不利になる?採用担当者の視点とは

転職活動を進める中で、「履歴書の空白期間が選考で不利になるのではないか」と不安に感じる方は少なくありません。結論から言うと、空白期間があること自体が、必ずしも不採用に直結するわけではありません。重要なのは、その期間の理由と伝え方です。採用担当者は、応募者の経歴に空白期間を見つけたとき、その背景にある情報を知りたいと考えています。この章では、まず採用担当者が空白期間をどのように見ているのか、その視点について詳しく解説します。
そもそも空白期間とは何ヶ月からか
履歴書における「空白期間」に、法律や企業間で統一された明確な定義はありません。一般的に、離職期間が3ヶ月を超えると「空白期間」と認識され、採用担当者がその理由を知りたいと感じ始める傾向にあります。ただし、これはあくまで目安であり、企業の文化や募集職種、個々の担当者の考え方によっても受け止め方は異なります。
一般的に、期間が長くなるほど、その理由についてより丁寧な説明が求められるようになります。以下の表は、空白期間の長さと採用担当者が抱きやすい印象の目安です。
| 期間 | 採用担当者の一般的な印象 |
|---|---|
| 3ヶ月未満 | 一般的な転職活動期間と見なされることが多く、特に問題視されないケースがほとんどです。有給休暇の消化なども考慮され、自然な期間と捉えられます。 |
| 3ヶ月~半年 | 転職活動が長引いている、あるいは何か特別な理由があるのではないか、と興味を持たれる期間です。理由を簡潔に説明できれば、マイナスの印象にはなりにくいでしょう。 |
| 半年~1年 | 理由の説明が必須となる期間です。なぜこれだけの期間が必要だったのか、採用担当者が納得できる具体的な説明が求められます。 |
| 1年以上 | 選考において慎重な判断がなされる傾向があります。働く意欲やスキルの低下を懸念される可能性があるため、空白期間をどう過ごし、何を得たのかを明確に伝えることが極めて重要になります。 |
採用担当者が空白期間で懸念する3つのこと
採用担当者は、履歴書の空白期間から応募者の様々な側面を推測しようとします。特に、以下の3つの点について懸念を抱くことが多いです。これらの懸念点を理解しておくことで、的確なアピールが可能になります。
1. 働く意欲や向上心の低下
長期間仕事から離れていると、「働くことへの意欲が薄れているのではないか」「仕事の感覚を取り戻すのに時間がかかるのではないか」といった懸念を持たれることがあります。また、キャリアプランに対する主体性や計画性がないと判断される可能性もゼロではありません。採用担当者は、ブランクがあったとしても、変わらぬ仕事への熱意や、今後のキャリアに対する前向きな姿勢があるかを確認したいと考えています。
2. ビジネススキルの低下や知識の陳腐化
特に技術革新の速い業界や専門職では、数ヶ月のブランクでも知識やスキルが古くなってしまうことがあります。採用担当者は、「即戦力として活躍できるか」「最新の業界動向や業務知識をキャッチアップできているか」という点をシビアに見ています。空白期間中に何もしていなかったと判断されると、スキル面での不安を与えてしまいかねません。この懸念を払拭するためには、ブランク中に自己研鑽に励んでいたことを具体的に示す必要があります。
3. 健康面やストレス耐性への不安
空白期間の理由が明記されていない場合、「心身の健康状態に問題があったのではないか」「前職で何らかのトラブルを抱え、計画性なく退職してしまったのではないか」といった可能性を考慮します。企業としては、採用した人材には長く安定して活躍してほしいと考えているため、継続して就業できる健康状態か、組織に適応できるストレス耐性があるかという点は重要な選考基準となります。特に、体調不良が理由であった場合は、現在は業務に支障がないことを明確に伝えることが不可欠です。
【理由別】履歴書の空白期間の書き方と記入例
履歴書の空白期間は、伝え方次第で不利になるどころか、自己成長の機会としてアピールすることも可能です。ここでは、空白期間ができてしまった理由別に、採用担当者に納得してもらえる書き方と具体的な記入例を解説します。履歴書と職務経歴書、それぞれの役割を意識して使い分けるのがポイントです。
病気やケガによる療養をしていた場合の記入例
病気やケガによる療養は、やむを得ない理由として採用担当者も理解を示してくれるケースがほとんどです。重要なのは、現在は完治しており、業務に支障がないことを明確に伝えることです。具体的な病名まで記載する必要はありません。
履歴書への書き方
履歴書の職歴欄には、療養していた事実と、現在は業務遂行に問題ない旨を簡潔に記載します。これにより、採用担当者の不安を払拭することができます。
| 年 | 月 | 学歴・職歴 |
|---|---|---|
| (例)令和3 | 3 | 株式会社〇〇 一身上の都合により退職 |
| 病気療養のため、約1年間休養しておりました。 | ||
| 現在は完治しており、業務上の支障はございません。 | ||
| 以上 |
職務経歴書での補足方法
職務経歴書の自己PR欄や備考欄で、働く意欲をより具体的に示すと効果的です。療養期間中にスキルアップのために取り組んでいたことがあれば、それも併せて記載し、ポジティブな印象を与えましょう。
【職務経歴書での補足例文】
前職退職後、約1年間病気療養に専念しておりましたが、現在は完治し、医師からも就業の許可を得ております。体力も回復し、フルタイムでの勤務に全く支障はございません。療養期間中は、心身の回復に努めるとともに、貴社で活かせると考え、Webマーケティングの基礎についてオンライン講座で学習しておりました。この経験で培った知識と前職での営業経験を活かし、一日も早く貴社に貢献したいと考えております。
資格取得の勉強をしていた場合の記入例
キャリアアップやキャリアチェンジを目的とした資格取得の勉強は、学習意欲や目的意識の高さを示す絶好のアピールポイントになります。特に、応募する職種に直結する資格であれば、大きな強みとなるでしょう。
履歴書への書き方
職歴欄に、資格取得を目指して学習に専念していた期間を明記します。取得済みの資格はもちろん、取得に向けて勉強中の資格についても記載することで、意欲を伝えることができます。
| 年 | 月 | 学歴・職歴 |
|---|---|---|
| (例)令和3 | 6 | 株式会社△△ 一身上の都合により退職 |
| 退職後、ファイナンシャル・プランナー2級の資格取得のため学習に専念。 | ||
| (例)令和4 | 1 | ファイナンシャル・プランニング技能士2級 取得 |
| 以上 |
職務経歴書での補足方法
職務経歴書では、なぜその資格を取得しようと考えたのか、資格取得を通じてどのような知識やスキルを身につけたのか、そしてそれを入社後どのように活かしていきたいのかを具体的に記述します。目標達成に向けた計画性や実行力をアピールしましょう。
【職務経歴書での補足例文】
前職でお客様の資産運用に関するご相談を受ける中で、より専門的な知識でお客様に貢献したいという思いが強くなり、退職後はファイナンシャル・プランナーの資格取得に専念いたしました。毎日8時間の学習計画を立て、半年間の学習を経て2級FP技能士の資格を取得しました。この学習を通じて得た金融商品や税制、不動産に関する幅広い知識を活かし、貴社のコンサルティング営業として、お客様一人ひとりに最適な提案を行い、信頼関係を構築していきたいと考えております。
海外留学やワーキングホリデーをしていた場合の記入例
海外での経験は、語学力だけでなく、異文化適応能力、主体性、行動力といったポータブルスキルをアピールできる貴重な機会です。経験を仕事にどう結びつけるかを意識して伝えましょう。
履歴書への書き方
職歴欄に、渡航先の国、期間、目的(語学留学、大学での専門分野の研究など)を簡潔に記載します。学校名などを具体的に書くと、より信頼性が高まります。
| 年 | 月 | 学歴・職歴 |
|---|---|---|
| (例)令和2 | 9 | 株式会社□□ 一身上の都合により退職 |
| (例)令和2 | 10 | カナダへ語学留学(~令和3年9月) |
| バンクーバーのABCランゲージスクールにてビジネス英語を習得。 | ||
| 以上 |
職務経歴書での補足方法
職務経歴書の自己PR欄で、留学やワーキングホリデーを通じて得たスキルや経験を具体的に記述します。例えば、「TOEICのスコアが〇点から〇点に向上した」といった定量的な成果や、「多様な国籍のメンバーとチームでプロジェクトを成功させた」といった具体的なエピソードを盛り込むと、説得力が増します。
【職務経歴書での補足例文】
グローバルな環境で自身の語学力とコミュニケーション能力を試したいと考え、1年間カナダへ留学いたしました。語学学校では、様々なバックグラウンドを持つクラスメイトと積極的に議論を交わし、ビジネスシーンで通用する英語力を習得しました(TOEICスコア:渡航前650点→帰国後880点)。この経験で培った語学力と、多様な価値観を尊重し円滑な人間関係を築く異文化理解力を、貴社の海外事業部で活かし、海外クライアントとの交渉や現地スタッフとの連携に貢献できると確信しております。
介護や育児をしていた場合の記入例
介護や育児も、やむを得ない正当な理由です。大切なのは、現在は仕事に集中できる環境が整っていることを伝え、採用担当者の懸念を払拭することです。隠すことなく、正直に伝えましょう。
履歴書への書き方
職歴欄に「家族の介護のため」「育児に専念するため」といった事実を簡潔に記載します。そして、現在は業務に支障がないことを必ず書き添えましょう。
| 年 | 月 | 学歴・職歴 |
|---|---|---|
| (例)平成30 | 3 | 株式会社◇◇ 一身上の都合により退職 |
| 退職後、家族の介護に専念しておりました。 | ||
| 現在は介護施設への入所が決まり、業務に支障はございません。 | ||
| 以上 |
職務経歴書での補足方法
職務経歴書の備考欄などで、仕事と両立できる具体的な状況を説明すると、より安心感を与えられます。「子どもが小学校に入学し、時間に余裕ができた」「介護サービスを利用しており、緊急時の対応も家族と分担している」など、客観的な事実を伝えましょう。また、ブランク期間中のインプット(オンライン学習、関連書籍の読書など)があれば、働く意欲の高さを示す材料になります。
【職務経歴書での補足例文】
約3年間、育児に専念しておりましたが、子どもが保育園に入園し、夫や両親の協力も得られる体制が整ったため、再び仕事に打ち込みたいと考えております。育児中は、限られた時間の中で効率的に家事をこなすタイムマネジメント能力が身につきました。また、最新の業界動向を把握するため、Webメディアや専門誌のチェックを欠かさず行っておりました。この経験で培ったスキルと情報収集力を活かし、貴社の事務職として正確かつ迅速な業務遂行に貢献いたします。
転職活動をしていた場合の記入例
数ヶ月程度の転職活動期間は、一般的に空白期間とは見なされず、職歴欄に特段の記載は不要です。「一身上の都合により退職」で問題ありません。ただし、転職活動が1年以上に及ぶなど長引いた場合は、その期間に何をしていたのかを説明できるように準備しておく必要があります。
【履歴書への書き方】
基本的には、前職の退職理由を「一身上の都合により退職」と記載するのみで構いません。あえて「転職活動に専念」と書く必要はありませんが、もし長期間に及んだ場合は、正直に記載することも選択肢の一つです。
| 年 | 月 | 学歴・職歴 |
|---|---|---|
| (例)令和3 | 8 | 株式会社〇△ 一身上の都合により退職 |
| (特に記載は不要。長引いた場合は面接で説明できるよう準備する) | ||
| 以上 |
もし職務経歴書で触れる場合は、「これまでのキャリアを振り返り、自己分析や企業研究に時間をかけ、貴社への入社を強く希望するに至りました」のように、熟考の末の応募であることを伝えることで、志望度の高さをアピールできます。
アルバイトや派遣社員として働いていた場合の記入例
空白期間中にアルバイトや派遣社員として働いていた場合、それは空白期間ではなく立派な「職歴」です。応募する職種との関連性が薄い場合でも、社会人としての経験を継続していた証明になりますので、必ず記載しましょう。
【履歴書への書き方】
雇用形態(アルバイト、派遣社員など)を明記の上、会社名、業務内容を記載します。応募職種に関連する業務であれば、その点を強調すると良いでしょう。短期間のアルバイトを複数経験した場合は、まとめて記載することも可能です。
| 年 | 月 | 学歴・職歴 |
|---|---|---|
| (例)令和3 | 5 | 株式会社〇〇商事 一身上の都合により退職 |
| (例)令和3 | 7 | 株式会社△△に派遣社員として登録(~令和4年3月) |
| 株式会社□□にて一般事務(データ入力、電話応対)に従事 | ||
| 以上 |
職務経歴書では、アルバイトや派遣の経験から得たスキル(例:複数の業務を並行して進めるマルチタスク能力、初対面の人とも円滑に業務を進めるコミュニケーション能力など)を具体的にアピールしましょう。
起業準備や家業手伝いをしていた場合の記入例
起業準備や家業の手伝いも、空白期間ではなく貴重なビジネス経験です。どのような目的で、具体的に何を行っていたのかを職歴として記載しましょう。主体性や経営的な視点をアピールできる可能性があります。
【履歴書への書き方】
「起業準備のため」「家業である〇〇(事業内容)に従事」などと具体的に記載します。担当していた役割や業務内容も簡潔に添えると、経験が伝わりやすくなります。
| 年 | 月 | 学歴・職歴 |
|---|---|---|
| (例)令和2 | 12 | 株式会社〇〇 一身上の都合により退職 |
| (例)令和3 | 1 | 家業である「有限会社△△商店」(小売業)に従事 |
| 主にECサイトの運営、在庫管理、顧客対応を担当 | ||
| 以上 |
職務経歴書では、その経験を通じてどのようなスキルが身についたのか、どのような実績を上げたのかを具体的に記述します。「SNSマーケティングを導入し、売上を前年比120%に向上させた」など、具体的な数字を用いて説明できると、より説得力のあるアピールになります。
履歴書の空白期間をポジティブに伝える3つのポイント

履歴書に空白期間があると、多くの求職者が不安を感じるかもしれません。しかし、採用担当者は空白期間があること自体を問題視しているわけではありません。重要なのは、その期間をどのように過ごし、そこから何を得たのか、そして今後どのように企業に貢献できるのかを明確に伝えることです。ここでは、空白期間のネガティブな印象を払拭し、むしろ自己PRの機会に変えるための3つの重要なポイントを解説します。
空白期間で得たスキルや経験をアピールする
空白期間を「何もしていなかった時間」ではなく、「目的を持って過ごした価値ある時間」として捉え直すことが最初のステップです。どのような理由であれ、その期間に得たスキルや経験は必ず存在します。それらを具体的に言語化し、応募先の企業でどのように活かせるのかを結びつけてアピールしましょう。
例えば、病気療養をしていた場合でも、ただ「療養していました」と伝えるだけでは不十分です。療養を通じて自己管理能力が高まったことや、自身のキャリアについて深く考える時間が持てたことなどを伝えれば、採用担当者はあなたの人柄や成長意欲を評価するでしょう。以下の表を参考に、ご自身の経験を棚卸ししてみてください。
| 空白期間の理由 | アピールできるスキル・経験の例 |
|---|---|
| 病気・ケガの療養 | 自己管理能力、忍耐力、健康維持への意識、キャリアプランの再設計、物事を客観的に捉える力 |
| 資格取得の勉強 | 専門知識・スキル、計画性、目標達成意欲、継続力、自己投資への積極性 |
| 海外留学・ワーキングホリデー | 語学力、異文化理解力、コミュニケーション能力、主体性、環境適応能力、課題解決能力 |
| 介護・育児 | 責任感、マルチタスク能力、スケジュール管理能力、調整力、精神的な強さ、ホスピタリティ |
| 起業準備・家業手伝い | 経営視点、主体性、行動力、マーケティング知識、会計スキル、交渉力 |
これらのスキルは、ビジネスの現場で役立つ「ポータブルスキル」です。空白期間を通じて得た学びを具体的に示すことで、ブランクを強みに変えることができます。
前向きな姿勢と働く意欲を示す
採用担当者が空白期間について懸念するのは、「働く意欲が低下しているのではないか」「入社後すぐに辞めてしまうのではないか」という点です。そのため、過去の事実を伝えるだけでなく、未来に向けた前向きな姿勢と強い働く意欲を示すことが極めて重要になります。
空白期間があったからこそ、応募企業で働きたいという気持ちが強くなった、というストーリーを組み立てましょう。具体的には、以下の要素を自己PRや志望動機に盛り込むと効果的です。
- 空白期間を経て、キャリアプランが明確になったこと
- 現在は業務に支障がない健康状態であること(療養の場合)
- ブランクを取り戻すために、積極的に学習する意欲があること
- 空白期間で得た経験を、応募企業でどのように活かしたいか
大切なのは、「空白期間は終わったことであり、これからは貴社で貢献したい」という未来志向のメッセージを伝えることです。後ろ向きな表現は避け、自信を持って今後の展望を語りましょう。
| NG例(働く意欲が伝わりにくい表現) | OK例(前向きな姿勢が伝わる表現) |
|---|---|
| 約1年間療養しておりましたが、現在は働けるようになりました。 | 約1年間の療養を経て、心身ともに万全の状態です。この期間に自己分析を深め、〇〇という分野で貴社に貢献したいという思いを強くいたしました。 |
| ブランクがあるので不安ですが、頑張りたいと思います。 | 1年半のブランクがありますが、その間に〇〇の資格を取得しました。この知識を活かし、1日も早く戦力となれるよう尽力いたします。 |
正直に簡潔に事実を伝える
空白期間の理由について、嘘をついたり曖昧にごまかしたりすることは絶対に避けるべきです。経歴詐称を疑われるだけでなく、採用担当者に不信感を与えてしまい、信頼関係を築くことが困難になります。仮に入社できたとしても、偽りの情報をもとにした採用は、後々のミスマッチにつながる可能性が高まります。
大切なのは、事実を正直に、かつ簡潔に伝えることです。特に、病気や家庭の事情など、プライベートな内容に深く踏み込む必要はありません。採用担当者が知りたいのは、業務に支障があるかどうかです。事実を簡潔に伝え、現在は問題なく働けることを明確に示しましょう。
伝えるべきこと・伝えなくてよいことの線引き
例えば、病気療養が理由の場合、具体的な病名や治療の詳細まで説明する必要はありません。「病気療養のため」という事実と、「現在は完治しており、業務に支障がない」という点を伝えれば十分です。同様に、家族の介護が理由の場合も、詳細な家庭の事情を話す必要はなく、「家族の介護に専念するため」と簡潔に記載し、現在は業務に集中できる環境が整っていることを補足しましょう。
事実を正直に伝える姿勢は、誠実な人柄のアピールにもつながります。不要な情報を削ぎ落とし、伝えるべき要点を押さえて、信頼される応募者を目指しましょう。
履歴書の空白期間について面接で質問されたときの答え方と例文
履歴書に空白期間があれば、面接でその理由を質問される可能性は非常に高いでしょう。書類選考を通過したということは、採用担当者はあなたの経歴に興味を持っている証拠です。ここで的確に回答できれば、懸念を払拭し、むしろ自己アピールの機会に変えることができます。この章では、面接で空白期間について質問された際の答え方のポイントと、理由別の回答例文を詳しく解説します。
面接官が質問する意図を理解する
面接官が空白期間について質問するのは、応募者を落とすためではありません。回答を通して、あなたの人物像や働く意欲を確認したいと考えています。質問の裏にある意図を理解することで、より効果的な回答を準備できます。
- 働く意欲と定着性:「仕事への意欲は高いか」「入社してもまたすぐに辞めてしまわないか」といった、働くことへのモチベーションや長く会社に貢献してくれる人材かを確認しています。
- スキルや知識の低下:長期間仕事から離れている場合、「業務に必要なスキルや知識が鈍っていないか」「新しい環境や情報にキャッチアップできるか」という点を懸念しています。
- 計画性と主体性:空白期間をどのように過ごしていたかを聞くことで、「目的意識を持って行動できるか」「時間を有効に使えるか」といった計画性や主体性を見ています。
- ストレス耐性や健康状態:特に療養による空白期間の場合、「業務に支障をきたす健康上の問題はないか」「ストレス耐性を備えているか」を確認する意図があります。
- 人柄と誠実さ:曖昧な回答や嘘は、不信感につながります。正直に、かつ前向きに説明できるかどうかで、誠実な人柄であるかを判断しています。
回答のポイントと注意点
面接官の意図を踏まえ、空白期間をネガティブな印象にせず、ポジティブなアピールにつなげるための回答のポイントと注意点を押さえておきましょう。
回答で押さえるべき4つのポイント
以下の4つのポイントを意識して、回答を組み立てましょう。
| ポイント | 解説 |
|---|---|
| 1. 結論から簡潔に伝える | まず「〇〇の理由で、〇ヶ月間離職しておりました」と、空白期間の理由と期間を簡潔に伝えます。最初に結論を述べることで、話が分かりやすくなります。 |
| 2. ポジティブな表現を心がける | 「何もしていなかった」「だらだら過ごしてしまった」といったネガティブな表現は避けましょう。「キャリアを見つめ直す期間でした」「次のステップに向けた準備をしていました」など、前向きな言葉に言い換えることが重要です。 |
| 3. 空白期間での学びや経験を語る | 空白期間をただのブランクではなく、成長の機会であったことをアピールします。「〇〇というスキルを習得しました」「この経験を通じて〇〇の重要性を学びました」など、具体的なエピソードを交えて伝えましょう。 |
| 4. 入社意欲と貢献の姿勢を示す | 最後に、空白期間の経験を活かして、応募企業でどのように貢献したいかを伝えます。「この経験で得た〇〇を活かし、貴社の〇〇という事業で貢献したいと考えております」と締めくくることで、高い入社意欲を示すことができます。 |
回答するときの注意点
- 嘘をつかない:経歴に関する嘘は、発覚した場合に経歴詐称となり、内定取り消しや懲戒解雇の理由になり得ます。事実を正直に伝えましょう。
- 言い訳や他責にしない:「前の会社の環境が悪くて」「なかなか採用されなくて」など、他者や環境のせいにするような発言は、責任感がないと判断されるため避けましょう。
- 長々と話さない:要点をまとめず、冗長に話すと、コミュニケーション能力が低いと見なされる可能性があります。1分程度で簡潔に話せるように準備しておきましょう。
- 自信のない態度はNG:空白期間に引け目を感じ、おどおどした態度で話すのは逆効果です。堂々と、ハキハキとした口調で話すことを意識してください。
【理由別】面接での回答例文集
ここからは、空白期間の理由別に具体的な面接での回答例文を紹介します。ご自身の状況に合わせてアレンジして活用してください。
病気やケガによる療養をしていた場合
【回答例文】
はい、前職を退職後、約半年間、病気の療養に専念しておりました。治療に集中するため退職いたしましたが、現在は完治しており、医師からも就業の許可を得ております。体力も回復し、フルタイムでの勤務に全く支障はございません。
療養期間中は、自身のキャリアプランをじっくりと見つめ直す良い機会となりました。その中で、これまでの経験を活かしつつ、より社会貢献性の高い分野で働きたいという思いが強くなり、医療業界である貴社を志望いたしました。今後は万全の体調管理のもと、一日も早く貴社に貢献できるよう尽力したいと考えております。
【ポイント】
現在は完治しており、業務に支障がないことを明確に伝えます。療養期間をキャリアを見つめ直すなどの前向きな時間として捉えていたことをアピールし、入社意欲につなげましょう。
資格取得の勉強をしていた場合
【回答例文】
はい、前職退職後の1年間は、以前から目標としていた日商簿記1級の資格取得に専念しておりました。経理としてのキャリアを積む中で、より高度な会計知識と専門性が必要だと感じ、一度業務から離れて集中的に学習する期間を設けました。
結果として無事に資格を取得でき、連結会計や税効果会計といった専門知識を体系的に学ぶことができました。この資格勉強で得た知識は、必ずや貴社の経理部門で活かせると確信しております。専門性を活かして、精度の高い月次・年次決算業務に貢献したいと考えております。
【ポイント】
なぜその資格を取得しようと思ったのか、目的を明確に述べます。資格取得の過程で得た知識やスキルが、応募企業の業務にどう直結するのかを具体的に説明することが重要です。
海外留学やワーキングホリデーをしていた場合
【回答例文】
はい、1年間、オーストラリアへ語学留学をしておりました。グローバルに事業を展開する企業で活躍したいという目標があり、ビジネスレベルの英語力を習得するために、退職して留学することを決意いたしました。
現地では語学学校に通うだけでなく、多様な国籍の友人と積極的に交流し、異文化理解力とコミュニケーション能力を養いました。この経験で培った語学力と主体性を活かし、貴社の海外事業部の一員として、海外のクライアントとの円滑な関係構築に貢献したいと考えております。
【ポイント】
留学の目的を具体的に伝え、語学力だけでなく、異文化適応能力や主体性など、付随して得られたスキルもアピールしましょう。その経験を応募企業でどう活かしたいのかを明確に述べることが大切です。
介護や育児をしていた場合
【回答例文】
はい、前職を退職してからの2年間は、父の介護に専念しておりました。家族で話し合い、私が中心となってサポートすることを決めました。現在は介護施設への入所が決まり、私自身が仕事に集中できる環境が整いましたので、再就職活動を開始いたしました。
介護の経験を通して、限られた時間の中で効率的に物事を進めるタイムマネジメント能力や、関係各所との調整能力が身についたと感じております。この経験で培った力を、貴社の営業事務として、営業担当の方々をきめ細やかにサポートするために活かしていきたいと考えております。
【ポイント】
家庭の事情を正直に話しつつ、現在は仕事に専念できる環境が整っていることを伝え、採用担当者の不安を払拭します。介護や育児の経験から得たスキル(タスク管理能力、調整力など)を仕事に結びつけてアピールしましょう。
転職活動をしていた場合
【回答例文】
はい、前職退職後の4ヶ月間は、転職活動に専念しておりました。これまでのキャリアを振り返り、自身の強みや今後のキャリアプランを深く見つめ直す時間にしたいと考えたためです。
焦って次の職場を決めるのではなく、これまでの法人営業の経験を最大限に活かせ、かつ長期的に貢献できる企業を慎重に探しておりました。その中で、顧客との長期的な関係構築を重視する貴社の理念に強く共感し、ぜひ一員として貢献したいと強く感じ、応募いたしました。
【ポイント】
「なかなか内定が出なかった」という印象を与えないよう、「キャリアの棚卸し」「企業研究」など、目的意識を持って活動していたことを伝えます。「慎重に企業を選んだ結果、御社にたどり着いた」という流れで話すことで、志望度の高さをアピールできます。
アルバイトや派遣社員として働いていた場合
【回答例文】
はい、前職退職後の半年間は、派遣社員としてデータ入力の業務に就いておりました。生活基盤を安定させながら、自身のキャリアプランを見つめ直し、Webマーケティング業界へのキャリアチェンジに向けた学習時間を確保するためです。
派遣の仕事を通じて、正確かつ迅速に大量のデータを処理するスキルを向上させることができました。また、業務外の時間ではWebマーケティングに関するオンライン講座を受講し、SEOの基礎知識やアクセス解析ツールの使用方法を学びました。未経験ではございますが、ここで得たデータ分析の素養と学習意欲を活かし、貴社で一日も早く戦力になりたいと考えております。
【ポイント】
なぜ正社員ではなくアルバイトや派遣を選んだのか、その理由(例:学習時間の確保、生活のためなど)を明確に説明します。その期間に得たスキルや経験が、応募職種でどのように活かせるかを具体的に伝えましょう。
起業準備や家業手伝いをしていた場合
【回答例文】
はい、前職退職後の1年間は、IT分野での起業準備をしておりました。具体的には、市場調査や事業計画の策定、Webサービスのプロトタイプ開発などに取り組んでおりました。
最終的に事業化には至りませんでしたが、この経験を通じて、経営的な視点やプロジェクトを推進する主体性を身につけることができました。特に、ユーザーのニーズを的確に捉え、それをサービスに反映させるプロセスは大きな学びとなりました。この経験で培った企画力と推進力を、貴社の新規事業開発のポジションで活かせると考えております。
【ポイント】
どのような目的で、具体的に何を行っていたのかを説明します。たとえ結果が伴わなかったとしても、その経験から何を学んだのか、そしてその学びが会社員として働く上でどのように貢献できるのかを前向きにアピールすることが重要です。
履歴書の空白期間に関するよくある質問
履歴書の空白期間について、多くの求職者が疑問や不安を抱えています。ここでは、特に多く寄せられる質問に対して、採用担当者の視点を踏まえながら具体的にお答えします。
空白期間の理由を正直に書きたくない場合はどうする?
「転職活動が長引いてしまった」「特に何もしていなかった」など、空白期間の理由を正直に書きづらいと感じるケースは少なくありません。しかし、経歴について嘘をつくことは絶対に避けるべきです。虚偽の記載は経歴詐称にあたり、内定取り消しや入社後の懲戒解雇につながるリスクがあります。
大切なのは、嘘をつかずに「伝え方を工夫する」ことです。ネガティブな印象を与えかねない理由も、ポジティブな表現に変換したり、事実の範囲で簡潔に伝えたりすることで、採用担当者の懸念を払拭できます。
具体的な言い換えのポイントを以下の表にまとめました。
| 正直に書きづらい理由 | 伝え方のポイントと例文 |
|---|---|
| 転職活動が長引いた |
単に「転職活動」と書くのではなく、活動を通して何を考え、学んだのかを伝えましょう。 例文: |
| 心身の不調で休んでいた |
プライベートな情報であるため、病名などを詳細に記載する必要はありません。現在は回復しており、業務に支障がないことを明確に伝えることが重要です。 例文: |
| 明確な理由なく休んでいた |
「何もしていない」と伝えるのではなく、自己投資やキャリアの棚卸しの期間だったと前向きに表現しましょう。 例文: |
重要なのは、空白期間をマイナスなものと捉えず、次のステップへの準備期間であったと前向きな姿勢で説明することです。
職歴欄ではなく自己PR欄に書くのはあり?
結論から言うと、空白期間の説明を職歴欄に一切書かず、自己PR欄のみに記載するのは避けるべきです。
採用担当者は、職歴欄で応募者の経歴を時系列に沿って確認します。職歴欄に不自然な空白があると、「何か隠しているのではないか」と不信感を抱かせる原因になりかねません。経歴の連続性が分からないと、正当な評価が難しくなる可能性もあります。
最適な方法は、それぞれの欄の役割に応じて書き分けることです。
- 職歴欄
「いつ、何をしていたか」という事実を簡潔に記載します。これにより、経歴の空白を正直に示し、時系列を明確にします。
(例:「2023年4月~2023年9月 〇〇の資格取得のため、学習に専念」) - 自己PR欄・職務経歴書
職歴欄で触れた内容を具体的に補足し、その経験を通じて何を得たのか、今後どのように仕事に活かせるのかをアピールします。空白期間をポジティブな経験として価値づけるためのスペースです。
このように、職歴欄で事実を伝え、自己PR欄や職務経歴書でその期間の価値を伝える、という役割分担を意識しましょう。
空白期間が長い(3年以上)場合はどうすればいい?
空白期間が3年以上など長期間にわたる場合、採用担当者は「働く意欲は低下していないか」「ビジネススキルが鈍っていないか」「新しい環境に馴染めるか」といった点を特に懸念します。これらの懸念を払拭するための丁寧な説明が不可欠です。
長い空白期間を説明する際は、以下の3つのポイントを意識してください。
1. 期間を区切って具体的に説明する
長い期間を「一身上の都合」とひとくくりにせず、期間をいくつかに区切り、それぞれ何に取り組んでいたのかを具体的に説明しましょう。これにより、目的意識を持って過ごしていたことが伝わりやすくなります。
書き方の例(職務経歴書など)
- 2020年4月~2022年3月:家族の介護に専念
- 2022年4月~2023年9月:介護と並行し、在宅にてWebデザインの学習。クラウドソーシングサイトで単発の案件を複数受注。
- 2023年10月~現在:ITパスポートの資格取得に向けて学習中。
2. スキルの陳腐化がないことをアピールする
ブランクによる知識やスキルの低下という懸念を払拭するため、空白期間中も継続的に学習していたことを具体的に示しましょう。
- 資格取得:応募職種に関連する資格(例:日商簿記、TOEIC、ITパスポートなど)の取得実績を記載する。
- 自主学習:オンライン講座の受講、セミナーへの参加、専門書の読書など、主体的に知識をアップデートしていたことを伝える。
- 社会との接点:短期のアルバイト、派遣、ボランティア、地域活動など、組織や人と関わる経験があればアピールする。
3. 高い就業意欲を具体的に示す
なぜ「今」働きたいのか、そして「なぜこの会社なのか」を明確に伝えることが重要です。空白期間があったからこそ、より一層働くことへの意欲が高まっているという熱意を伝えましょう。
企業研究を深く行い、「空白期間中に培った〇〇という視点を、貴社の△△という事業で活かしたい」というように、自分の経験と企業の接点を具体的に結びつけて説明できると、説得力が増します。
長い空白期間は、伝え方次第でマイナスイメージを払拭し、むしろ人間的な深みや計画性のアピールにつなげることも可能です。正直かつ前向きに、自身の経験を語れるように準備しておきましょう。
まとめ
本記事では、履歴書の空白期間について、採用担当者の視点から理由別の書き方、ポジティブに伝えるポイントまで詳しく解説しました。履歴書に空白期間があると不安に感じるかもしれませんが、書き方次第で不利になるどころか、自己PRの材料に変えることも可能です。
採用担当者が懸念するのは、働く意欲やスキルの低下、定着性などです。これらの懸念を払拭するため、空白期間の理由は正直かつ簡潔に伝えましょう。病気の療養、資格取得の勉強、介護など、やむを得ない事情や明確な目的があった場合は、その事実を誠実に記載することが信頼につながります。
最も重要なポイントは、空白期間を「何もしていなかった期間」ではなく、「目的を持って過ごした期間」として捉え直すことです。その期間を通じて得たスキルや経験、学びを具体的に示し、今後の仕事にどう活かしていきたいかという前向きな意欲をアピールしましょう。この記事で紹介した記入例や面接での回答例を参考に、ご自身の状況に合わせて応募書類を作成し、自信を持って選考に臨んでください。

