「志望動機がうまく書けない…」と悩む就活生・転職者の方へ。
本記事では、ChatGPTなど無料で使える「志望動機添削機能付きツール」のおすすめ5選と、初心者でも失敗しない選び方・活用法を解説します。
AIツールの特徴から効果的な使い方まで網羅的にわかるため、書類選考の通過率を高める志望動機が作れるようになります。
結論、ツールは強力な味方ですが、自己分析に基づき最後は自分の言葉で修正することが内定への近道です。
そもそも志望動機の添削はなぜ重要なのか

就職・転職活動において、志望動機は書類選考の通過を左右する極めて重要な項目です。多くの応募者が頭を悩ませる部分であり、「これで本当に大丈夫だろうか」と不安に感じる方も少なくありません。自分では完璧に書けたつもりでも、採用担当者の視点で見ると、意図が伝わりにくかったり、アピールポイントがずれていたりすることがあります。
こうした「自分では気づけない課題」を解消し、志望動機をより洗練されたものにするために、添削というプロセスが不可欠なのです。特に、毎日何十、何百というエントリーシートに目を通す採用担当者にとって、読みやすく、論理的で、熱意が伝わる文章は高く評価されます。志望動機の添削は、その他大勢の応募者から一歩抜け出し、面接への切符を手にするための重要な戦略と言えるでしょう。
通過率を上げる客観的な視点
志望動機を作成する際、私たちはどうしても主観的になりがちです。「自分のこの経験は素晴らしいはずだ」「この熱意は伝わるに違いない」といった思い込みが、独りよがりな文章を生み出す原因となります。第三者による添削は、この主観的な文章に「客観的な視点」を取り入れ、誰が読んでも理解できる内容へとブラッシュアップするために極めて有効です。
客観的な視点が入ることで、具体的には以下のような点が改善されます。
- 誤字脱字や不自然な日本語の修正:基本的なミスは「注意力が不足している」「志望度が低い」といったマイナスの印象を与えかねません。
- 論理の飛躍や矛盾点の解消:「なぜその経験からその結論に至るのか」という話のつながりを明確にし、説得力を高めます。
- 専門用語や抽象的な表現の具体化:業界特有の言葉や「頑張りました」のような曖昧な表現を、誰にでも伝わる具体的なエピソードや言葉に置き換えます。
- 企業が求める人物像との一致:自分のアピールしたい点と、企業が求めている能力や価値観が合致しているかを確認し、的確なアピールにつなげます。
自分一人での推敲には限界があります。以下の表は、自己添削と第三者による添削の視点の違いをまとめたものです。
観点 | 自己添削の限界 | 第三者(ツール含む)添削のメリット |
---|---|---|
文章の正確性 | 自分の書いた文章は見慣れてしまい、誤字脱字や文法ミスを見逃しやすい。 | 機械的、あるいは新たな視点でチェックするため、基本的なミスを発見しやすい。 |
論理構成 | 自分の思考の癖に気づきにくく、結論へのプロセスに飛躍があっても見過ごしてしまう。 | 話のつながりが不自然な部分や、根拠が薄い箇所を客観的に指摘できる。 |
表現の分かりやすさ | 自分の中では当たり前の表現が、他人には伝わりにくい専門用語や内輪ネタになっていることがある。 | 誰が読んでも理解できる、より一般的で平易な表現に修正できる。 |
企業視点 | 自分のアピールしたいことに終始し、企業が何を知りたいかという視点が抜け落ちがちになる。 | 企業の採用ページや事業内容を踏まえ、求められる人物像に沿ったアピールになっているか確認できる。 |
このように、客観的な視点を取り入れることで、志望動機は格段に質が向上し、書類選考の通過率を高めることにつながります。
企業に熱意を伝えるための文章構成
「熱意を伝えたい」という思いが強すぎるあまり、ただ長く、思いつくままに文章を書き連ねてしまうケースがよく見られます。しかし、これは逆効果です。多忙な採用担当者は、要点が不明瞭な長い文章を最後まで読んでくれるとは限りません。本当に熱意を伝えるために必要なのは、文章の長さではなく、考え抜かれた「文章構成」です。
優れた志望動機は、論理的で分かりやすい構成に沿って書かれています。例えば、ビジネスシーンでも広く用いられる「PREP法」は、志望動機を作成する上で非常に有効なフレームワークです。
- Point(結論):最初に「なぜこの企業を志望するのか」という結論を明確に述べます。
- Reason(理由):結論に至った具体的な理由を説明します。企業のどんな点に魅力を感じたのかを述べます。
- Example(具体例):理由を裏付ける自身の経験やエピソードを具体的に示し、説得力を持たせます。
- Point(再結論):最後に、自身の経験やスキルを活かして、入社後にどのように貢献したいかを述べ、改めて志望の意思を伝えます。
このような型に沿って情報を整理することで、話の筋が一本通り、採用担当者はストレスなく内容を理解できます。そして、論理的に「なぜ自社でなければならないのか」「なぜあなたを採用すべきなのか」が伝わることで、表面的な言葉以上に深い熱意を感じ取ってもらえるのです。志望動機添削ツールは、こうした効果的な文章構成になっているか、話の流れがスムーズかをチェックする手助けをしてくれます。単なる文章の修正だけでなく、構成レベルから見直すことで、あなたの熱意が最大限に伝わる志望動機が完成するのです。
志望動機添削機能付きツールの種類と選び方
志望動機の添削ツールと一言でいっても、その種類は多岐にわたります。近年急速に発展したAI(人工知能)を活用したものから、長年の就活・転職支援ノウハウを持つ就活サイトが提供するものまで様々です。それぞれの特徴を理解し、自分の状況や目的に合ったツールを選ぶことが、失敗しない志望動機作成の第一歩となります。
ここでは、代表的なツールの種類と、特に初心者の方がツールを選ぶ際に押さえておきたい3つのポイントを詳しく解説します。
AI(人工知能)搭載型ツールの特徴
AI搭載型ツールは、ChatGPTに代表される生成AI技術を活用した添削サービスです。キーワードや箇条書きにしたアピールポイントを入力するだけで、自然な文章を生成したり、既存の文章をより伝わりやすい表現に修正したりしてくれます。最大の魅力は、24時間365日、いつでも気軽に利用できる点です。深夜に志望動機を作成している時でも、すぐにフィードバックを得られるため、時間がない就活生や転職活動中の方にとって心強い味方となるでしょう。
- メリット:時間や場所を問わず即座に添削結果が得られる。多様な表現のパターンを提案してくれるため、文章の引き出しが増える。費用がかからない、もしくは比較的安価なサービスが多い。
- デメリット:一般的な文章校正は得意だが、応募する企業の社風や業界特有のニュアンスまで汲み取った添削は難しい場合がある。生成された文章が他の応募者と似通ってしまう可能性がある。
就活サイト提供型ツールの特徴
マイナビやリクナビといった大手就活・転職サイトが提供する添削ツールです。これらのツールは、サイトが保有する膨大な過去の選考データや、企業が求める人物像に関する知見を基に開発されています。そのため、より実践的で、採用担当者の視点を意識したアドバイスが期待できるのが大きな特徴です。また、自己分析ツールや企業情報と連携していることが多く、一貫性のあるアピール内容を作成しやすい点も魅力です。
- メリット:企業の採用傾向や過去のデータに基づいた、信頼性の高い添削が受けられる。自己分析の結果と志望動機を連携させやすい。就活・転職活動全体のサポート機能の一部として利用できる。
- デメリット:利用にはサイトへの会員登録が必須となる。AI型に比べて添削に時間がかかる場合や、機能が限定的なサービスもある。
種類 | AI(人工知能)搭載型 | 就活サイト提供型 |
---|---|---|
主な特徴 | 生成AI技術を活用し、即時性と柔軟性が高い | 就活・転職サイトのデータやノウハウが基盤 |
添削の速度 | 非常に速い(数秒〜数分) | サービスによる(即時〜数日) |
専門性 | 一般的な文章構成や表現の改善が得意 | 企業の採用傾向を反映した実践的なアドバイス |
オリジナリティ | 表現が画一的になる可能性あり | 自己分析との連携で個性を出しやすい |
おすすめな人 | 文章のたたき台が欲しい人、時間がない人 | 企業の視点を重視したい人、一貫性のある書類を作りたい人 |
初心者向けツールの選定ポイント3つ
数あるツールの中から、どれを選べば良いか迷ってしまう方も多いでしょう。特に初めて志望動機を作成する初心者の方向けに、最低限チェックしておきたい3つの選定ポイントをご紹介します。
無料で使えるか
就職活動や転職活動は、交通費やスーツ代など何かと費用がかさむものです。そのため、志望動機添削ツールはまず無料で利用できるものから試してみるのがおすすめです。多くのAIツールや就活サイトの機能は、無料で基本的な添削サービスを提供しています。無料の範囲で複数のツールを実際に使ってみて、自分に合ったものを見つけましょう。サービスによっては、より高度な機能や添削回数の上限解放などが有料プランとして用意されている場合もありますが、まずは無料版で十分なサポートが得られるかを確認することが重要です。
登録の簡単さ
「すぐに志望動機をチェックしたい」と思った時に、登録プロセスが複雑だとモチベーションが下がってしまいます。メールアドレスだけで簡単に登録できるか、GoogleやLINEなどのSNSアカウントで連携してすぐに始められるかなど、登録の手軽さは重要な選定ポイントです。個人情報の入力をどこまで求められるかも確認し、安心して利用できるツールを選びましょう。手軽に始められるツールであれば、文章作成のハードルが下がり、気軽に何度も推敲を重ねることができます。
添削の精度と速度
ツールの最も重要な機能である「添削の精度」と「速度」のバランスを見極めましょう。AI搭載型ツールは速度に優れていますが、時には不自然な日本語や的外れな修正案を提示することもあります。一方、就活サイト提供型ツールは精度が高い傾向にありますが、結果が出るまでに時間がかかることもあります。単なる誤字脱字のチェックだけでなく、「自己PRとの一貫性」「企業の求める人物像との合致度」「より熱意が伝わる表現」といった、一歩踏み込んだアドバイスをくれるかどうかが精度の高いツールの見極めポイントです。まずは文章の骨子をAIでスピーディーに作成し、その後に人の目や専門性の高いツールでブラッシュアップするなど、複数のツールを組み合わせるのも効果的な使い方です。
【無料あり】おすすめの志望動機添削機能付きツール5選

ここでは、志望動機の作成と添削に役立つ、おすすめのツールを5つ厳選してご紹介します。AI搭載型から就活サイト提供型まで、それぞれの特徴やメリットを比較し、あなたに最適なツールを見つけましょう。新卒の就職活動だけでなく、転職活動で使えるサービスも解説します。
ChatGPT 志望動機添削の王道AIツール
ChatGPTは、OpenAIが開発した対話型の生成AIです。その高い言語能力を活かし、志望動機の添削ツールとして非常に優秀な性能を発揮します。単なる誤字脱字のチェックだけでなく、文章構成の改善提案や、より熱意が伝わる表現への言い換えなど、多角的なフィードバックを得られるのが最大の魅力です。無料版(GPT-3.5)でも十分に活用できますが、有料版(GPT-4など)を利用すれば、さらに高度で自然な文章添削が期待できます。
利用する際は、「あなたは企業の採用担当者です。以下の志望動機を、より熱意が伝わるように添削してください。」といったように、具体的な役割(ペルソナ)と指示(プロンプト)を与えることが精度を高めるコツです。自分の強みや企業研究で得た情報を箇条書きで渡し、それを基に志望動機を作成してもらうといった使い方も可能です。
項目 | 詳細 |
---|---|
対象者 | 新卒、転職者問わず全ての方 |
料金 | 無料(一部機能は有料) |
主な特徴 | ・プロンプト次第で自由度の高い添削が可能 ・24時間いつでも利用できる手軽さ ・複数パターンの文章生成や壁打ち相手にもなる |
マイナビ 新卒向け就活サイトの便利機能
新卒向け就職情報サイトの最大手である「マイナビ」では、登録者向けにAIを活用したエントリーシート(ES)添削機能を提供している場合があります。マイナビに登録したプロフィールや自己PR、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)などの情報と連携させ、一貫性のある志望動機を作成する手助けをしてくれます。
長年にわたって蓄積された就活生のデータに基づいているため、企業の採用担当者に評価されやすいポイントを押さえたアドバイスが期待できる点が強みです。サイト内の自己分析ツールや業界研究コンテンツと併用することで、より説得力のある志望動機を作成できるでしょう。就職活動を始めたばかりで、何から手をつければ良いか分からない学生にとって心強い味方となります。
項目 | 詳細 |
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対象者 | 主に新卒の就活生 |
料金 | 無料(サイトへの会員登録が必要) |
主な特徴 | ・大手就活サイトならではの豊富なデータが基盤 ・自己分析など他の就活サポート機能と連携 ・ES全体のバランスを見て添削してくれる |
リクナビ 豊富なデータに基づく添削支援
「リクナビ」もマイナビと並ぶ大手就職情報サイトであり、AIによるES添削・作成支援ツールを提供しています。リクナビの強みは、OpenESという独自のフォーマットと連携できる点です。OpenESに登録した内容を基に、志望動機を含むES全体のクオリティを高めるための客観的なフィードバックを得られます。
過去の膨大なエントリーシートのデータをAIが学習しているため、どのような表現が好まれるか、あるいは避けるべきかといった実践的なアドバイスが受けられます。文章の分かりやすさや論理的な構成、アピールポイントの明確さなどを診断し、改善点を具体的に示してくれるため、初心者でも安心して利用できます。
項目 | 詳細 |
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対象者 | 主に新卒の就活生 |
料金 | 無料(サイトへの会員登録が必要) |
主な特徴 | ・OpenESとの連携で効率的なES作成が可能 ・膨大な過去データに基づく実践的なアドバイス ・文章の論理性や構成を客観的に診断 |
doda 転職者向けの高品質な添削サービス
転職者向けのサービスとして高い実績を誇る「doda」では、AIツールだけでなく、プロのキャリアアドバイザーによる添削サポートが受けられる点が大きな特徴です。エージェントサービスに登録することで、業界や職種に精通した担当者が、あなたの職務経歴やスキルを踏まえた上で、より効果的な志望動機を一緒に考えてくれます。
特に、未経験の業界への転職やキャリアアップを目指す場合など、専門的な視点からのアドバイスは非常に価値があります。AIによる機械的なチェックでは見抜けない、応募先企業とのマッチ度や、あなたのポテンシャルを最大限に引き出すための表現方法を提案してくれます。職務経歴書との一貫性も重視してくれるため、応募書類全体の完成度を高めたい方におすすめです。
項目 | 詳細 |
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対象者 | 主に転職希望者 |
料金 | 無料(エージェントサービスへの登録が必要) |
主な特徴 | ・転職のプロであるキャリアアドバイザーによる添削 ・業界・職種に特化した専門的なアドバイス ・職務経歴書との一貫性を考慮したサポート |
キミスカ 自己分析から一貫した志望動機作成
「キミスカ」は、企業から学生にアプローチが届く「逆求人(スカウト)型」の就活サイトです。このサイトの最大の特徴は、精度の高い自己分析ツール「適性検査」と、志望動機作成が連動している点にあります。適性検査によって客観的に洗い出された自分の強みや価値観を基に志望動機を作成するため、内容にブレがなく、説得力のあるアピールが可能になります。
キミスカに登録したプロフィールや自己PRは、企業の採用担当者が直接閲覧します。そのため、ツールを使って作成した志望動機は、そのまま企業へのアピール材料となります。自分の言葉で表現することに苦手意識がある方でも、自己分析の結果という確かな根拠に基づいて文章を組み立てられるため、オリジナリティと説得力を両立させやすいツールと言えるでしょう。
項目 | 詳細 |
---|---|
対象者 | 主に新卒の就活生 |
料金 | 無料(サイトへの会員登録が必要) |
主な特徴 | ・高精度の自己分析ツール(適性検査)と連動 ・客観的なデータに基づいた一貫性のある志望動機作成 ・スカウト型のサービスで企業からのアプローチも期待できる |
志望動機添削ツールの効果を最大化する安心活用術
志望動機添削ツールは、就職活動や転職活動において非常に強力な味方となります。
しかし、ただ漠然と使うだけではその効果を十分に引き出すことはできません。ここでは、ツールの性能を最大限に活用し、他の応募者と差をつけるための具体的な4つのステップを解説します。この手順を踏むことで、ツールの利便性を享受しつつ、あなただけのオリジナルで熱意のこもった志望動機を作成できるでしょう。
ステップ1:まずは自己分析を終わらせる
志望動機添削ツールを使い始める前に、必ず自己分析を完了させてください。ツールはあくまで文章作成を「補助」するものであり、志望動機の核となる「あなた自身の経験や想い」を生み出すことはできません。土台となる自己分析が曖昧なままツールに頼ると、誰にでも当てはまるような薄っぺらい内容になりがちです。
自己分析を通じて、以下の点を明確に言語化しておきましょう。
- 自分の強みと弱み: 過去の経験(学業、アルバイト、サークル活動など)を振り返り、具体的なエピソードと共に洗い出す。
- 価値観や仕事観: どのような時にやりがいを感じるか、仕事を通じて何を成し遂げたいかを考える。
- 得意なこと・好きなこと: スキルや能力だけでなく、純粋に興味を持てる分野や作業をリストアップする。
- キャリアプラン: 5年後、10年後にどのような社会人になっていたいか、将来のビジョンを描く。
これらの要素が、あなたの志望動機に深みと説得力をもたらすための重要な材料となります。この材料が揃って初めて、ツールは最高のパフォーマンスを発揮します。
ステップ2:箇条書きで伝えたいことを整理する
自己分析で得られた材料をもとに、いきなり文章を書き始めるのではなく、まずは伝えたい内容を箇条書きで整理します。これにより、論理の飛躍や内容の漏れを防ぎ、一貫性のある構成を作ることができます。企業研究で得た情報と、自己分析の結果を結びつけることがポイントです。
最低限、以下の4つの要素について箇条書きで書き出してみましょう。
-
- なぜこの業界なのか: 数ある業界の中から、なぜその業界に興味を持ったのか。きっかけとなった経験や社会的な意義などを記述します。
- なぜこの企業なのか: 業界内の他の企業ではなく、なぜその企業を志望するのか。企業の理念、事業内容、製品・サービス、社風など、魅力に感じた点を具体的に挙げます。
- 入社後にどう貢献できるか: 自分の強み、スキル、経験を活かして、企業のどの分野でどのように貢献したいかを明確にします。具体的な業務内容と結びつけるとより効果的です。
- 将来の展望: その企業で働くことを通じて、どのように成長し、将来的にはどのような目標を達成したいかを述べます。
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この箇条書きが、志望動機の設計図となります。この段階で内容をしっかり固めておくことで、ツールが出力する文章の質が格段に向上します。
ステップ3:ツールで文章化し複数パターンを試す
設計図が完成したら、いよいよ添削ツールの出番です。ステップ2で作成した箇条書きをツールに入力し、文章を生成させます。この時、単に「志望動機を作成して」と依頼するのではなく、より具体的で詳細な指示(プロンプト)を与えることが、質の高いアウトプットを得るための秘訣です。
例えば、AI搭載型ツールに入力する場合、以下のような指示の違いで結果は大きく変わります。
悪い指示の例 | 良い指示の例 | |
---|---|---|
具体性 | IT業界の株式会社A社向けの志望動機を書いてください。 | IT業界の株式会社A社のインフラエンジニア職を志望しています。以下の要素を含めて、400字程度の志望動機を作成してください。 |
含める要素 | (特になし) |
|
文体の指定 | (特になし) | 熱意が伝わる、丁寧かつ前向きな文体でお願いします。 |
良い指示を与えることで、ツールはあなたの意図を正確に汲み取り、よりパーソナライズされた文章を生成してくれます。また、一度だけでなく、少し指示を変えて複数のパターンを生成させることも有効です。異なる表現や構成を比較検討することで、最も自分にしっくりくる文章のヒントが見つかるでしょう。
ステップ4:添削結果を鵜呑みにせず自分の言葉で修正する
ツールが生成した文章は、あくまで「下書き」であり「たたき台」です。これをそのままコピー&ペーストして提出するのは絶対に避けましょう。採用担当者は数多くのエントリーシート(ES)に目を通しており、ツールで生成されたような没個性的な文章はすぐに見抜かれてしまいます。
生成された文章を元に、必ず以下の視点で推敲と修正を行ってください。
- あなたの「声」が聞こえるか: 文章は綺麗でも、あなた自身の言葉や感情がこもっていなければ意味がありません。特に具体的なエピソード部分は、あなたにしか書けない体験談を盛り込み、表現を自分の言葉に置き換えましょう。
- 企業の求める人物像と一致しているか: 企業の採用ページなどを再度確認し、アピールする強みや人物像が企業の求めるものとズレていないかを確認します。
- 不自然な表現はないか: AIは時として、文脈に合わない単語や硬すぎる表現を使うことがあります。声に出して読んでみて、違和感がないかチェックしましょう。
- 熱意とオリジナリティ: 「貴社でなければならない理由」が明確に伝わるか、他の応募者と差別化できる独自の視点が含まれているか、最終確認します。
この最後の仕上げのステップこそが、志望動機の質を決定づける最も重要な工程です。ツールを賢く活用しつつ、最後は必ず自分の手で魂を吹き込むことで、採用担当者の心に響く、通過率の高い志望動機が完成します。
志望動機添削ツール利用時の注意点とリスク

志望動機添削ツールは、エントリーシート(ES)や履歴書作成の時間短縮に繋がり、文章作成が苦手な人にとっては心強い味方です。
しかし、その利便性の裏にはいくつかの注意点とリスクが潜んでいます。ツールを最大限に活用し、採用担当者に響く志望動機を完成させるためにも、以下のポイントを必ず押さえておきましょう。
個人情報や機密情報の入力は避ける
無料で利用できるAI搭載型ツールなどに志望動機を入力する際は、個人を特定できる情報や、現在所属している(または過去に所属していた)企業の機密情報を入力しないように徹底してください。具体的には、以下のような情報の取り扱いに注意が必要です。
- 氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報
- 在籍している大学名、学部名、ゼミ名
- 在籍中または前職の企業名、部署名
- 具体的な製品名やサービス名、社外秘のプロジェクト内容
- 取引先企業名
これらの情報を入力すると、意図せず外部に漏洩したり、AIの学習データとして利用されたりするリスクがゼロではありません。志望動機を添削してもらう際は、企業名や大学名を「貴社」「〇〇大学」のように仮名に置き換え、具体的なプロジェクト内容も「新規事業の立ち上げ」「業務効率化プロジェクト」のように一般的な表現に変換してから入力するようにしましょう。
オリジナリティが失われる可能性
添削ツールは、膨大なデータに基づいて論理的で分かりやすい文章を生成することを得意としています。その一方で、提案される文章は一般的で無難な表現に偏りがちになる傾向があります。その結果、他の就活生や転職者と似たような、個性のない志望動機になってしまう可能性があります。
採用担当者は、数多くの応募書類に目を通しています。ツールが生成したような紋切り型の文章では、あなたの熱意や人柄が伝わりにくく、「また同じような内容だ」と判断され、その他大勢の中に埋もれてしまいかねません。ツールが提案する文章はあくまで「たたき台」と捉え、あなた自身の経験から得た学びや、その企業でなければならない理由を具体的なエピソードを交えて自分の言葉で加筆・修正し、「あなただけの志望動機」に昇華させることが不可欠です。
最終確認は人の目で行うことの重要性
AIによる添削は非常に高速で便利ですが、完璧ではありません。特に、文章の細かなニュアンスや行間から伝わる熱意、企業の社風とのマッチ度といった定性的な部分の判断は、依然として人間の領域です。ツールによる添削を経た後でも、必ず第三者に読んでもらい、客観的なフィードバックをもらうことを強く推奨します。
ツールと人の目では、得意なチェック領域が異なります。両者を組み合わせることで、志望動機の完成度は飛躍的に高まります。
チェック項目 | ツール(AI)の得意分野 | 人の目(第三者)の得意分野 |
---|---|---|
誤字脱字・文法ミス | ◎(高精度で瞬時に発見できる) | 〇(見落とす可能性もある) |
文章構成の論理性 | 〇(PREP法など型に沿った構成は得意) | ◎(話の飛躍や矛盾点を指摘できる) |
表現の適切さ・自然さ | △(不自然な言い回しが残ることがある) | ◎(業界特有の言葉遣いや自然な日本語表現を判断できる) |
熱意・人柄の伝わり方 | ×(感情的な側面は評価できない) | ◎(文章から受ける印象を客観的に伝えられる) |
企業とのマッチ度 | △(企業理念などの情報を取り込めるが、深い理解は困難) | ◎(企業の社風や求める人物像を考慮したアドバイスが可能) |
オリジナリティ・独自性 | ×(個人の経験に基づく独自性を評価できない) | ◎(具体的なエピソードが魅力的か判断できる) |
最終チェックを依頼する相手としては、大学のキャリアセンターの職員や、転職エージェントのキャリアアドバイザーといったプロに相談するのが最も効果的です。もし身近に相談できるプロがいない場合は、社会人の先輩や信頼できる友人に読んでもらうだけでも、自分では気づかなかった視点や改善点が見つかるでしょう。
まとめ
志望動機添削ツールは、客観的な視点を取り入れ、選考の通過率を高めるために非常に有効な手段です。
ChatGPTのようなAI型からマイナビなどの就活サイト提供型まで無料で使えるツールも多く、初心者でも手軽に利用できます。
しかし、ツールの結果を鵜呑みにするのは危険です。効果を最大化するためには、まず自己分析を徹底し、添削結果を参考にしつつ、必ず自分の言葉でオリジナリティのある文章に仕上げることが重要です。
最終的には人の目でも確認し、自信を持って提出できる志望動機を完成させましょう。
